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血中の代謝物とゲノムとの関連性を発見 血漿メタボロームと遺伝子多型の関連解析が未来型医療実現のカギに

【発表のポイント】

  • 血漿メタボローム*1(代謝物)情報と遺伝子多型*2情報の関連解析により、50種類近い関連が同定されました。関連する遺伝子の多くが疾患に関与することが報告されている遺伝子でした。
  • ヒト由来だけではなく、腸内細菌由来の代謝物も遺伝要因の影響を受けていることが明らかになりました。
  • 性別、民族集団により、遺伝子が代謝物へ与える影響の効果に違いがあることが明らかになりました。

【概要】

血液中の代謝物はヒトの健康状態に関係しているものが多く、バイオマーカー*3として利用されています。一方、ゲノム上の遺伝子多型の多くについては健康状態との明確なつながりを示すことが困難です。東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)では、代謝物とゲノムとの関連を明らかにするmetabolome-genome wide association study (MGWAS)を提案してきました。

今回、ToMMoの小柴生造教授(東北大学未来型医療創成センター兼務)らのグループは、東北メディカル・メガバンク計画におけるコホート調査*4によって得られた1,008人の血漿メタボローム情報と全ゲノム解析情報についてMGWAS を実施し、50種類近い関連とその詳細について明らかにしました。関連を同定した遺伝子の多くが疾患に関与することが報告されていること、腸内細菌由来の代謝物への影響、性別や民族集団による代謝物の分布の違いなど、疾患の成り立ちの解明につながっていく知見が得られました。

この成果は、日本時間 2020年11月11日にNature Researchが提供するオープンアクセス学術誌「Communications Biology」のオンライン版で公開されました。

【図 同定した遺伝子・代謝物の関連との関係図】
疾患種別もしくは外因性要因の文字色と同色の枠内にあるのが、疾患との関わりが見られた遺伝子(黒字斜体)と代謝物(ピンク字)

【用語解説】

*1 血漿メタボローム: 血漿中に含まれる代謝物(メタボライト)。

*2 遺伝子多型: ゲノム配列において個人間で異なる多様性。

*3 バイオマーカー: 疾患の発症や進行を反映する生体内分子。

*4 コホート調査: 特定の集団を一定期間追跡することによって、環境要因や遺伝的要因と疾病発生の関連を調べる調査。ここでいうコホート調査は「東北メディカル・メガバンク計画」の長期健康調査のこと。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学東北メディカル・メガバンク機構
生体分子解析分野
教授 小柴 生造(こしば せいぞう)
電話番号:022-274-6016

(報道担当)
東北大学東北メディカル・メガバンク機構
長神 風二(ながみ ふうじ)
電話番号:022-717-7908
ファクス:022-717-7923
Eメール:pr*megabank.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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