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6G次世代通信に向けたテラヘルツ波の高度な制御技術 THz波の透過性と位相を変えられるメタマテリアルを開発

【発表のポイント】

  • メタマテリアルの電磁誘起透明化現象を微小電気機械システム(MEMS) 注1で自在に制御する技術を開発
  • テラヘルツ(THz)波の透過率、位相を電圧で制御することができる
  • 下地基板を取り除く製造方法を開発したことで、透明性の向上と不要な干渉波形の除去を実現
  • 次世代通信技術「6G」をはじめ、医療・バイオ・農業・食品・環境・セキュリティ・量子コンピューター・光LSIなど幅広い分野での応用が期待される

【概要】

世界ではすでに移動通信システム5Gの次の世代「6G」を見据えた研究開発が始まっており、テラヘルツ波が使用されることが明示されています。東北大学大学院工学研究科の金森義明教授らのグループは、メタマテリアル注2の電磁誘起透明化現象注3を微小機械で自在に制御する技術を開発し、電圧でテラヘルツ波の透過率や位相を制御することができるチューナブル・フィルターを実現しました。MEMS製造技術を用いて作られるため小型・量産性に優れ、電子回路や半導体と組み合わせてテラヘルツ波の高度な制御が可能になります。次世代通信技術「6G」をはじめ、幅広い分野での応用が期待されます。

本研究成果は、2020年11月30日付で、Scientific Reportsに掲載されました。

図1:開発したチューナブル・フィルターの基本構造の模式図

【用語解説】

注1: MEMS
Micro electromechanical systemsの略称。半導体微細加工技術を用いて製作された立体構造や可動構造を機械要素部品として作られたセンサ・アクチュエータと、電子回路等を集積化した微小電気機械システム。

注2: メタマテリアル
対象とする電磁波の波長より小さな単位構造で構成され、自然界には無いような電磁波応答を示す人工光学物質。空間的な局在電場モード(光の状態密度)を自在に設計し得る最小の光共振器とも言え、電磁波の応答特性は主にメタマテリアルの形状で決まる。負の屈折率、透明マント(クローキング)、完全レンズなどの実現可能性が示されている。

注3: 電磁誘起透明化現象
量子干渉効果により吸収帯の中に狭い透過窓が生じる現象。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院工学研究科 ロボティクス専攻
教授 金森義明
TEL:022-795-4893
E-mail:kanamori*meta.mech.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関して>
東北大学大学院工学研究科情報広報室
担当 沼澤みどり
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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