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1年間に発生するむし歯の約6割はむし歯のなかった児童から発生 〜小学生を対象とした1年間の追跡研究〜

【発表のポイント】

  • 小学生の永久歯う蝕を対象とした本研究の結果から、1年間に発症したう蝕のうち約6割は、1年前の時点では1本も永久歯にう蝕のなかった児童からの発症によって占められていた。
  • 今回明確にされた「う蝕のない児童から、多くのう蝕が新規に発症する」という現状は、健診でハイリスク者を特定して受診勧奨などを行う従来のアプローチの限界を示している。
  • う蝕予防のためには、ハイリスク対策だけでない、集団全体を対象にしたフッ化物洗口やシーラント・プログラムを併用した予防アプローチが必要である。

【概要】

う蝕(むし歯)は世界で最も有病率の高い疾患であり、日本でも、学校保健統計では多くの年齢の児童で最も多い疾患です。

本研究では沖縄県内の小学生1,542人を1年間追跡し、最初の時点での永久歯う蝕の本数ごとにグループ分けし、その各グループ中で1年後に永久歯が新たにう蝕に罹患した本数を統計学的に調査しました。その結果、1年間にう蝕に罹患した永久歯502本の内、約60%の300本が最初の時点ではう蝕の永久歯が1本もなかった児童から発生したものでした。

う蝕予防のためには、これまでの歯科健診及びそれで見つかったハイリスク者への受診勧告といった対策だけでなく、う蝕のない児童も対象となるような集団フッ化物洗口やシーラント・プログラムを併用した包括的な予防のアプローチが必要だと考えられます。

本研究成果は2020年11月16日に国際科学雑誌International Journal of Environmental Research and Public Healthに電子版が掲載されました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
歯学イノベーションリエゾンセンター
地域展開部門
教授 相田 潤(あいだ じゅん)
電話:03-5803-5475
E-mail:j-aida*umin.ac.jp(*を@に置き換えてください)

歯科医師 草間 太郎(くさま たろう)
E-mail:kusama-thk@umin.ac.jp

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
広報室
電話:022-717-8260
E-mail:den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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