2020年 | プレスリリース・研究成果
効率的な泳ぎには内臓の頭側への移動が関与 水泳における「下半身の沈み」を解明
【発表のポイント】
- 水泳のストリームライン姿勢(いわゆる蹴伸び姿勢)では、体の中で内臓の頭側への移動が起きていることを発見
- 重心の頭側移動により、水泳における「下半身の沈み」を防ぐことができる
- キックを打たずに水平姿勢を保つテクニックは、水泳パフォーマンスの向上につながる
【概要】
水泳は世界中で広く行われているスポーツであり、水泳パフォーマンスの向上には水の抵抗を減らした流線型の姿勢(ストリームライン姿勢、いわゆる蹴伸び姿勢)の維持が重要です。東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野の吉田直記助手、上月正博教授、放射線診断学分野の大田英揮准教授、樋口慧医師、肢体不自由学分野の出江紳一教授の研究グループは、水泳選手に対してMRI撮影および重心の位置測定をした結果、高レベルの選手ほど、ストリームライン姿勢において胃や腸などの内蔵を収めている体の中の空間(体幹腔)の形状が「上広がり+下すぼまり」に変化することを明らかにしました。この変化が大きいほど、水の抵抗となってしまう水中での下半身の沈みが防がれ、水泳パフォーマンスの向上につながる重要な知見です。本研究によって、水泳におけるスポーツ医学研究のさらなる発展が期待できます。
本研究結果は、2020年12月8日付で英国科学誌Scientific Reports誌に掲載されました。

図1.ストリームライン姿勢における浮心と重心の関係
a.水中のストリームライン姿勢の模式図。白丸は浮心、黒丸は重心を表す。浮心と重心の位置が離れていると、鉛直方向に一致するまで物体は回転する。ヒトのストリームライン姿勢の場合は下半身が沈んでしまう。
b.水泳におけるストリームライン姿勢。
c.MRI撮影風景。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野
助手 吉田 直記(よしだ なおき)
Eメール:naoki.yoshida.d6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
医局秘書 門馬 節子(もんま せつこ)
電話番号:022-717-7353
Eメール:monmask@med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
東北大学病院広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office@med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)