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ダークマターは「密」になりたがる!? 宇宙一小さな銀河たちから導かれるダークマター理論への制限

【発表のポイント】

  • 宇宙でいちばん小さくて暗い銀河である超低輝度矮小銀河(注)の星の運動から、銀河に分布するダークマターの密度が「自己相互作用するダークマター」理論の予言と比べて遥かに大きいことを示しました。
  • 「ダークマターどうしが散乱する強さ」を調べた結果、その強さは非常に弱く、ダークマターは散乱しにくいことを示しました。

【概要】

ダークマターとはいったい何者なのか?様々な観測から私たちの宇宙はダークマターという物質に支配されていることがわかっていますが、その正体は未だ謎のままです。この未知の物質に対して数多くの理論が立てられています。東北大学大学院理学研究科の林航平特任助教らの研究グループは、宇宙で最も小さく暗い銀河の星の運動から、ダークマターの有力候補である「自己相互作用するダークマター」に対してダークマターが散乱する強さを調べました。その結果、ダークマターの散乱は非常に弱く、密になりやすいことがわかりました。本研究の成果はアメリカ物理学会の発行する学会誌、Physical Review D に2021年1月20日(米国東部時間)にオンライン掲載されました。

図1:ダークマターの(密度)分布。赤いほどダークマターが高密度になっている。左図はダークマターが中心部で高密度になる場合で、右図が矮小銀河から期待されているダークマター分布。ダークマターの相互作用が強いと右図のような中心部で密にならない分布になる。超低輝度矮小銀河のSegue1は左図のような分布を示した。Credit: Kohei HAYASHI

【用語解説】

(注) 矮小銀河
数十億個以下の恒星から成る小さな銀河。数千億個の恒星から作られている銀河系と比べても、その規模は非常に小さいことがわかる。この銀河は大量のダークマターを含んでおり、この星の運動はダークマターが作り出す重力に支配されていると考えられている。超低輝度矮小銀河は矮小銀河の中でも、恒星の数が数十万個以下と非常に少ないのが特徴である。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学 大学院理学研究科 天文学専攻
特任助教 林 航平(はやし こうへい)
電話:022-795-6607
E-mail:k.hayasi*astr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学 大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
電話:022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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