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膵臓がん発生の仕組みに迫る STK11遺伝子に異常を有する膵管内乳頭粘液性腫瘍の特徴

【本学研究者情報】

〇本学代表者所属・職・氏名:大学院医学系研究科 病態病理学分野・教授・古川 徹
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 膵管内乳頭粘液性腫瘍注1におけるSTK11注2異常についてゲノム解析し、その臨床病理学的特徴を明らかにした。
  • STK11の異常に関連する5つの特徴を明らかにした。
  • STK11を標的とした膵臓がんの早期発見や新規治療戦略の開発が期待される。

【概要】

腫瘍抑制遺伝子であるSTK11は、膵臓がんのドライバー遺伝子注3ですが、膵管内乳頭粘液性腫瘍における腫瘍化への役割は明らかではありませんでした。東北大学大学院医学系研究科病態病理学分野・大森優子助教、古川徹教授らの研究グループは、STK11異常を有する膵管内乳頭粘液性腫瘍の遺伝学的、臨床病理学的な5つの特徴を明らかにしました。STK11を標的とした膵臓がんの早期発見や新しい治療戦略の開発につながることが期待されます。

本研究成果は、2021年3月3日米国の学術誌Annals of Surgery誌(電子版)に掲載されました。

図1: STK11異常を有する膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の特徴

【用語解説】

注1.膵管内乳頭粘液性腫瘍:膵臓にできる嚢胞(のうほう)性腫瘍の代表。膵管(膵液が流れる管)の内部に、盛り上がるよう(乳頭状)に増殖する腫瘍で、豊富な粘液分泌を特徴とする。膵管内で発育した腫瘍が、浸潤して膵臓がんを形成する。

注2.STK11:細胞の増殖や分化、極性を制御するタンパク質。様々な生体反応の制御に関与する腫瘍抑制遺伝子で、消化管ポリポーシス(多数のポリープができる症状)と粘膜皮膚色素沈着を特徴とし、高い膵発癌リスクを有することが知られているPeutz-Jeghers症候群の原因遺伝子として有名。

注3.ドライバー遺伝子:がん遺伝子・腫瘍抑制遺伝子といった、がんの発生・進展において直接的に重要な役割を果たす遺伝子。変異により機能を失う場合と、新たに機能を獲得する場合がある。ドライバー遺伝子は低分子阻害剤や抗体医薬など、様々な分子治療の標的として有望であり、同時に診断のマーカーにもなる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科病態病理学分野
教授 古川 徹(ふるかわ とおる)
電話番号:022-717-8149
Eメール:toru.furukawa*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
東北大学病院広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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