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多種のキノコの共存が木材の分解を遅らせる 菌類の多様性と分解機能

【本学研究者情報】

〇本学代表者所属・職・氏名:大学院農学研究科・助教・深澤 遊
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 木片に多種の菌類が定着していると、少ない種数の菌類が定着している場合よりも木片の分解が遅れることがわかった。
  • 分解の遅れは、野外で分解の進んだ倒木に見られる、競争力の強い菌類のグループでより顕著だった。
  • 分解が遅いと二酸化炭素が大気中に放出される速度が遅くなるので、菌類の多様性を保つことで森林から大気中への二酸化炭素の放出を遅らせる(炭素隔離)効果が期待できる可能性がある。

【概要】

森林生態系は大気中の二酸化炭素を吸収しますが、森林の樹木が枯死すると、分解によって二酸化炭素が放出されます。この分解速度が遅くなれば、大気中への二酸化炭素放出量の削減につながります。菌類は枯死木の分解に主要な役割をはたす生物ですが、共存する菌類の多様性と分解機能の関係はよくわかっていませんでした。

東北大学大学院農学研究科の深澤遊助教の研究グループは、木片に接種する菌類の種数を操作することで、菌類の種数と分解機能の関係を調査しました。その結果、木片で共存する菌類の種数が多いほど、木片の分解速度が低下することがわかりました。

この実験結果は、森林生態系の炭素隔離を促進する上で、菌類の多様性を保全することの重要性を示唆しています。

本研究成果は2021年4月26日(月)に国際誌「Scientific Reports」で公開されました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院農学研究科 助教
深澤 遊(フカサワ ユウ)
電話:0229-84-7397
E-mail:yu.fukasawa.d3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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