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福島第一原発事故の影響を乳歯で調査 現在のところ汚染認められず

【本学研究者情報】

〇本学代表者所属・職・氏名:大学院歯学研究科 環境歯学研究センター・名誉教授・篠田 壽
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 体内で歯が形成される過程で、歯にはいろいろな物質が取りこまれる。そこで乳歯の成分を指標に、福島第一原発事故により放出された放射性物質の生体への影響を調べている。
  • 収集した乳歯には、放射性ストロンチウムや放射性セシウムが認められるが、福島第一原発事故に由来するものではなく、過去の核実験や原発事故に由来するものと考えられた。
  • 福島第一原発事故後の環境に長くさらされた歯でも二次的な汚染*1は認められなかった。
  • 福島県内と他県から集めた歯での放射線量の違いは認められなかった。

【概要】

福島第一原発事故により、ヒトの体内にどの程度の放射性物質が入ったかが懸念されています。東北大学を中心とする研究グループは、これまでに7,000本を超える乳歯を収集し、歯の中に取り込まれた放射性物質を調べています。その結果、福島県、他県にかかわらず、原発事故前に形成された歯にも、放射性ストロンチウムや放射性セシウムが認められました。それらは今回の福島第一原発事故由来ではないと考えられます。

また、すでに作られた歯の二次的な汚染もないことが明らかになりました。さらに、乳歯中の放射線量には、これまでのところ福島県とほかの地域での違いは認められておらず、福島県内においても地域差はありませんでした。原発事故後に作られた歯についての調査は継続中です。

本成果は、2021年5月14日付けで英国科学誌Scientific Reportsにオンライン掲載されました。

【用語解説】

*1 歯の二次的汚染:
原発事故前に形成され、口の中にすでにある歯にも環境中から歯の表面に吸着したり、血流を介して歯の中に取り込まれたりする可能性がある。これらの事象を歯の二次的汚染とよぶ。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科 環境歯学研究センター
名誉教授 篠田 壽
E-mail:hisashi.shinoda.b4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科 広報室
電話:022-717-8260
E-mail:den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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