本文へ
ここから本文です

凍結保存技術の応用と歯胚移植の可能性 歯を長期保存して移植に活用

【本学研究者情報】

〇本学代表者所属・職・氏名:大学院歯学研究科 顎口腔組織発生学分野・助教・中村 恵
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 歯根形成前の歯胚*1を用いた凍結保存移植では、移植後に歯根の伸長と歯根膜*2の形成が起こり、歯が萌出した。
  • 歯胚を凍結保存移植すると、歯髄は移植後も生きた状態で維持されることから、凍結保存歯胚移植の有用性が示された

【概要】

歯科医療の分野では、細胞や組織の長期保存を可能にする凍結保存の技術を応用し、抜歯した歯を保存して歯の移植に利用する試みがなされてきました。しかし、成熟した歯の凍結保存では歯髄を生きた状態で維持することが難しく、凍結保存移植の適応拡大において大きなハードルとなっています。

東北大学大学院歯学研究科 顎口腔組織発生学分野の中村恵助教と笹野泰之教授らのグループは、深圳大学病院のXinghan Li博士らとの共同研究により、マウスの歯胚移植実験系を確立し、成熟した歯ではなく、「発生途上にある歯胚」を用いることで、凍結保存後も歯髄細胞を生きた状態で維持し、移植後に歯胚が成長して萌出することを明らかにしました。本研究結果は、歯科医療における凍結保存移植の適応拡大に貢献するとともに、将来的にはバイオテクノロジーにより再生された歯胚を用いる移植医療への応用が期待されます。

この研究成果は、2021年5月4日付けで英科学誌Scientific Reportsに掲載されました。

【用語解説】

*1:歯胚
発生途中の幼若な歯。

*2:歯根膜
歯の周囲に形成される線維性の組織で、歯と骨を連結する。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
顎口腔組織発生学分野 
助教 中村恵
電話:022-717-8285
E-mail: megumi.nakamura.a6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科広報室
電話:022-717-8260
E-mail: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

このページの先頭へ