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最期を迎えた超巨大ブラックホールの発見 3000光年寄り道した光が捉える超巨大ブラックホールの最期の輝き

【本学研究者情報】

〇学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部 助教 市川幸平
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 超巨大ブラックホールは、周りから落ちるガスで成長 (=質量を増やす) することが知られていたが、そのガス降着が終わる瞬間は観察されていなかった
  • 超巨大ブラックホールから3000光年離れたガスの輝きを使うことで、過去の超巨大ブラックホールの活動を捉えた
  • その結果、約3000年前は活動的だったものの、現在は活動をやめて成長を止めた (=死んだ) 超巨大ブラックホールを発見した
  • 今後は母銀河や同様のブラックホールを探査することで宇宙における超巨大ブラックホール成長終焉の条件を知ることができるかもしれない

【概要】

銀河の中心にある超巨大ブラックホールは、時に周りから落ちるガスを飲み込んで成長し、その際にガスの重力エネルギーが開放されて光で明るく輝きます。この状態を活動銀河核といいますが、この活動銀河核がいつ終焉を迎えるかは長らくわかっておらず、その終焉の瞬間は長らく観測されてきませんでした。

東北大学学際科学フロンティア研究所の市川幸平助教らは、Arp187という天体に着目し、活動銀河核が作るおよそ3000光年にもおよぶ電離領域を「鏡」として利用することで、3000年ほど遅れて地球に届いた過去の活動銀河核の光度を見積もりました。さらにNASAのNuSTAR衛星によるX線観測から得られた現在の光度との比較を行いました。その結果、活動銀河核の光度が、この3000年程度で1000分の1以下に暗くなったことが明らかになり、活動銀河核が死につつある瞬間を捉えることに成功しました。

本研究成果は、2021月6月のアメリカ天文学会年会で発表され、6月7日(アメリカ東部夏時間)には、アメリカ天文学会主催の記者会見が開かれました。

図:VLA望遠鏡とアルマ望遠鏡の観測から得られたArp187の電波画像 (VLA 4.86 GHzに青、VLA 8.44 GHzに緑、アルマ望遠鏡 133 GHzに赤を割り当てた擬似カラー画像)。2つの電波構造が見えるが、中心核 (画像中央部) は暗いことがわかる。(クレジット:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Ichikawa et al.)

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部
助教 市川幸平
Eメール: k.ichikawa*astr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学学際科学フロンティア研究所 企画部
特任准教授 藤原英明
電話番号: 022-795-5259
Eメール: hideaki*fris.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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