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ハードカーボン内のナトリウムイオンの貯蔵メカニズムに関する新たなモデル 高性能ナトリウムイオン電池負極の実現に向けて

【本学研究者情報】

〇学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部/材料科学高等研究所 助教 韓久慧
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 構造を精密に制御したアモルファスカーボン(無定形炭素)を用いて、その局所構造とナトリウムイオンの貯蔵容量/電位との相関関係の定量的測定に成功した。
  • ハードカーボン※1(難黒鉛化性炭素)内のナトリウムイオンの貯蔵メカニズムに関する新たなモデルを提案した。
  • ナトリウムイオン電池※2の実用化に向けて、本研究の成果が高性能ハードカーボン負極の開発を促進することが期待される。

【概要】

ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池の低コスト代替品になると期待されているが、実用化へ向けた課題は高性能な電極の開発です。グラファイトのアモルファス同素体であるハードカーボンは、大容量かつ低コストであることから、一般的にナトリウムイオン電池の最も期待される負極材料と考えられてきました。しかし、アモルファスカーボンの無秩序な構造を制御して特性を明らかにすることが困難であるため、ハードカーボン内のナトリウムイオンの貯蔵に関する基本的なメカニズムが長い間の議論でした。

東北大学学際科学フロンティア研究所(FRIS)の韓久慧助教と材料科学高等研究所(AIMR)の陳明偉教授、工藤朗助教らの研究グループは、低温脱合金法※3を用いることで、局所構造を精密に制御できるアモルファスカーボンを開発しました。さらにこのアモルファスカーボンを導入したモデルシステムによる調査から、ハードカーボン内のナトリウムイオンについて新たな貯蔵メカニズムを明らかにしました。本研究はナトリウムイオン電池用の先進的カーボン負極の設計に新しい道を開くものです。

本研究成果は、2021年6月7日付け(現地時間)で米国科学誌「Nano Letters」にオンライン掲載されました。

図1.本研究に使用したアモルファスカーボンモデル材料の高分解能透過型電子顕微鏡像。アモルファスカーボンは化学的脱合金により合成され、その後の熱処理の温度に応じて種々の局所構造が生成された。

【用語解説】

※1 ハードカーボン:3000℃の熱処理温度でもグラファイトに変化しない非晶質炭素のこと。

※2 ナトリウムイオン電池:リチウムイオン電池と同様の原理で、電荷担体としてナトリウムイオン(Na+)を使用する充電式電池の一種。

※3 脱合金法:電解液中で合金の特定の元素のみを選択的に溶出すること。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

◆研究内容に関して
東北大学学際科学フロンティア研究所
新領域創成研究部
助教 韓 久慧(ハン ジュフィ)
Email:jiuhui.han.e1*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

◆報道に関して
東北大学学際科学フロンティア研究所
企画部 特任准教授 藤原英明
TEL:022-795-5259
Email:hideaki*fris.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学 材料科学高等研究所
広報戦略室
Tel:022-217-6146
Fax:022-217-5129
E-mail:aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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