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変性タンパク質を原因とする認知症の進行を止める治療薬の開発 ―SAK3は変性タンパク質の分解を促進する―

【本学研究者情報】

〇大学院薬学研究科先進脳創薬講座 名誉教授 福永浩司
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 2017年に発見したアルツハイマー病治療薬シーズSAK3はレビー小体型認知症にも有効である。
  • 低分子化合物SAK3は認知機能に関わるアセチルコリン遊離促進に加えて、脳の変性タンパク質のプロテアソーム分解を促進することが明らかになった。
  • SAK3はアルツハイマー病に加えて、レビー小体病などの変性タンパク質による認知機能障害の進行を抑止することができる。
  • 本研究成果は、変性タンパク質の蓄積が原因とされる他の神経変性疾患(パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭葉変性症など)の新規治療薬の開発につながる。

【概要】

様々な神経変性疾患では、共通して変性タンパク質の凝集体が神経細胞内に蓄積することで神経細胞死を起こします。東北大学大学院薬学研究科の福永浩司名誉教授と川畑伊知郎特任准教授は、低分子化合物SAK3を開発し、SAK3は記憶形成に関与する神経伝達物質アセチルコリン(ACh)の遊離を高めることで認知機能を改善することを2017年に報告しました。今回、SAK3が変性タンパク質を分解する装置プロテアソームを活性化して、神経細胞内の変性タンパク質を除去することを新たに発見しました。さらに、SAK3が神経細胞のプロテアソームを活性化して変性タンパク質の分解を促進する機構を明らかにしました。

本研究成果は、神経変性疾患の原因となるアミロイドベータタンパク質、シヌクレイン、ハンチンチン、タウタンパク質などの変性タンパク質の分解を促進して、神経細胞死を防ぐことにつながります。

この研究成果は、科学誌 International Journal of Molecular Sciencesにオンラインで 2021年6月8日(日本時間)に掲載されました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院薬学研究科 先進脳創薬講座
名誉教授 福永浩司
特任准教授 川畑伊知郎
電話:022-795-6838
E-mail:kfukunaga*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
    kawahata*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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