2021年 | プレスリリース・研究成果
世界初・日本発:超音波検査による乳がん検診のランダム化比較試験(J−START)‐若い女性への乳がん検診の標準化と普及へ向けて‐ 第2報
【本学研究者情報】
〇大学院医学研究科 乳腺・内分泌外科学分野 教授 石田孝宣
客員教授/名誉教授 大内憲明
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 若年女性に対する乳がん検診での乳房超音波検査の有効性を検証する目的で「ランダム化比較試験注1(RCT)」を用い76,196人の協力を得て実施しました。第1報の「プライマリエンドポイント:初回検診における感度、特異度、がん発見率」は2016年1月にLancetに掲載されました。
- 今回の第2報では、乳房超音波検査がマンモグラフィの偽陰性問題(検診でがんを検出できないこと)を補う有力な検査法であることが示されました。
- 超音波検査を用いた乳がん検診に関する大規模RCTは世界初であり、この成果は日本および世界で増え続ける乳がん対策の重要な礎となることが期待されます。
【概要】
乳がんの検診法として、乳房超音波検査の導入が期待されていますが、その有効性評価に関する研究は報告されていませんでした。東北大学大学院医学系研究科の大内 憲明(おおうち のりあき)客員教授らの研究グループは、40歳代女性を対象に乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験を実施し、今回、第2報を公表します。
本研究は、科学的に最も質の高い研究デザインである「ランダム化比較試験注1(RCT)」を用い、日本全国から76,196人の女性たちの協力を得て行われました。大規模な超音波検査を用いた乳がん検診に関するRCT は世界で初めてであり、この成果は日本および世界で増え続ける乳がん対策の重要な礎となることが期待されます。
今回の報告は、介入群と対照群における「乳房濃度別の感度、特異度解析による超音波検査の評価」となります。研究の結果、乳房超音波検査がマンモグラフィの偽陰性問題(検診でがんを検出できないこと)を補う有力な検査法であることが示されました。
本研究の結果は、2021年8月18日のJAMA Network Open(電子版)に掲載されました。本研究は、厚生労働科学研究費補助金および日本医療研究開発機構(AMED)革新的がん医療実用化研究事業の支援を受けて行われました。
図1 J-STARTの概要
【用語解説】
注1.ランダム化比較試験:最も質の高い科学的証拠が期待できる研究試験のデザインの一つ。既知の試験参加者の属性や影響を及ぼし得る未知の因子による偏りを2群間で少なくするために、手順書(プロトコール)に従い介入群と非介入群を無作為に割り付ける。新しい治療方法や予防を含めた医療の臨床試験で、科学的な証拠を検証するために用いられることが推奨されている。
問い合わせ先
<研究に関すること>
東北大学大学院医学系研究科 乳腺内分泌外科学分野
教授 石田 孝宣
客員教授/名誉教授 大内 憲明
電話番号:022-272-3011(J-START事務局)
Eメール:noriaki-ohuchi*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
<報道に関すること>
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-8032
FAX番号:022-717-8187
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)