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宇宙無重力環境による「からだつくり」の調節機構‐線虫の宇宙実験にみられたエピジェネティックな変化‐

【本学研究者情報】

〇生命科学研究科 教授 東谷篤志
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 国際宇宙ステーションISS「きぼう」日本実験棟で、モデル生物線虫を4世代に渡って培養することに成功。
  • 野生型と変異系統を用いて、無重力環境と宇宙で人工的に重力1Gを負荷した環境との比較により、再現性良く、宇宙無重力環境に応じたエピジェネティックな変化*1が生じることを確認。
  • からだの成長を調節する遺伝子群に対して、染色体ヒストンの修飾を介したエピジェネティックな調節がなされることを発見。

【概要】

無重力では宇宙飛行士の骨や筋肉が急速に萎縮することが知られています。一昨年、NASAから報告された双子の宇宙飛行士の研究では、無重力における遺伝子発現の変化とともに、エピジェネティックな変化を調べる試みもなされましたが、結論には至っていません。

東北大学大学院生命科学研究科の東谷篤志教授らのグループは、宇宙航空研究開発機構 (JAXA)との共同研究により、宇宙で育てたモデル生物線虫において、無重力環境に応じたエピジェネティックな変化を再現性良く発見しました。からだの成長を負に制御する新規DUF-19遺伝子群において遺伝子発現量の変化と染色体ヒストンの修飾を介したエピジェネティックな変化が再現性良く連動し、無重力下ではHDA-4の働きによってからだつくりが過剰に抑制されないように調節する機構が存在することをはじめて明らかにしたものです。本研究成果は、宇宙の無重力下で成長する際にエピジェネティックな変化が生じることを初めて明らかにした報告です。

この成果は(9月1日の)ネイチャー・パートナー・ジャーナルnpj Microgravity誌(電子版)に掲載されました。

【図】本研究から想定された宇宙無重力環境による「からだつくり」を制御するDUF-19遺伝子群のエピジェネティックな調節機構

【用語解説】

*1 エピジェネティックな変化:遺伝子DNAの塩基配列を変えることなく、遺伝子の働きを染色体ヒストンの修飾やDNAのメチル化などによって変化させる仕組みのこと。近年では、がんや代謝疾患、免疫疾患など様々な病気や環境要因によってエピジェネティックな変化が生じることも報告されています。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 教授 東谷 篤志 (ひがしたに あつし)
電話番号: 022-217-5715
Eメール: atsushi.higashitani.e7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号: 022-217-6193
Eメール: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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