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経済的影響を最小化する感染制御プロセスを理論で解明 新型コロナウイルス感染症対策の経済負担を軽減

【本学研究者情報】

大学院理学研究科 准教授 本堂毅(ほんどう つよし)
東北大学研究者紹介

【発表のポイント】

  • 経済的影響を減らす感染抑制対策の条件を一般性のある理論で解明した.
  • 感染者数増加後に緊急事態宣言等の対応をすることは,適切な社会的介入によって感染者数を常に一定に保つより,医療負担や感染者が被る損失だけでなく,経済的負担も大きくなる.
  • 経済的負担が大きい「緊急事態宣言の発出と解除の繰り返し」に代わる,最新の科学的知見を踏まえた持続性ある対策が日本では必要であろう.

【概要】

旧来の感染症対策の研究では主にシミュレーションの手法を用いているため,国や地域の経済状況や感染状況に依存したものとなり,一般性のある結論は導かれてこなかった.東北大学大学院理学研究科の本堂毅准教授は,経済学の費用便益分析(注1)と理論疫学の感染モデルの一般的仮定だけを用い,理論物理学の一般的手法により,経済的影響を最小とする感染症対策の普遍的条件を明らかにした.本研究で得られた一般的知見を日本の現状に当てはめるならば,経済コストの大きい時短や行動変容などのマクロ対策よりも,ウイルスの拡散・吸入を直接的に防ぐ効果が明らかでかつコストも小さい不織布マスクの適切な装着や,十分な常時換気の徹底など,ミクロな感染抑制策を優先させることの重要性が示唆される.

新型コロナウイルスに限らず,今後の感染症流行時に感染抑止を迅速かつ適切に行うための指針となることが期待される.

本成果は2021年10月18日にJournal of the Physical Society of Japanでオンライン公開された.

【用語解説】

(注1) 費用便益分析(Cost-Benefit Analysis)
公共事業等において,その計画の適切性評価や代案との比較を行うために適用される分析手法.事業に要する費用と,事業から得られる便益について,後者を金額に換算することで比較を行う.便益を金額に換算する部分で,価値観の多様性等を反映した便益額のばらつきが一般に生ずるが,本研究では,そのようなばらつきに依存しない結果を得ている.

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学大学院理学研究科
准教授 本堂 毅(ほんどう つよし)
E-mail:hondou*mail.sci.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
電話: 022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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