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東北沖海底火山は硬い堆積物を身にまとう ~地震発生時のプレート境界すべり抑制に関する新たな知見~

【本学研究者情報】

〇東北アジア研究センター 准教授 平野直人
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 有人潜水調査船「しんかい6500」とその支援母船「よこすか」を使用して採取された東北沖海底火山の岩石から、火山活動によって堆積物が激しく擾乱されていた証拠を発見しました。
  • 地球深部から上昇してくる熱いマグマは、上昇中に周囲の柔らかい堆積物を焼きなまし、硬くなった堆積物をまるで"硬い鎧"として身にまといながら噴火し、海底火山となることを確認しました。
  • 焼きなまされた硬い堆積物を身にまとった海底火山が沈みこむと、地震発生時のプレート境界すべりを抑制する可能性を示しました。

【概要】

東京大学大気海洋研究所の秋澤紀克助教を中心として、東京大学大学院理学研究科、東北大学東北アジア研究センター、千葉工業大学次世代海洋資源研究センター、海洋研究開発機構海洋機能利用部門、株式会社京都フィッション・トラックのメンバーで構成される共同研究チームは、東北沖の海底火山であるプチスポット(注1)で採取(図1)された岩石(図2*)を用いて、地球深部から上昇してくる熱いマグマが約300 m厚の海底堆積物を上下方向広範囲にわたり擾乱し、焼きなましてしまうことを物質的に明らかにしました(図3)。2011年の東北沖太平洋地震時には、プレート境界すべり(注2)の進行がプチスポットの存在エリアで妨げられた可能性が海底物理観測の観点から指摘されていましたが、その物的証拠を本研究で得ることができました。これは、津波を引き起こす巨大地震発生時に、プレート境界すべりを抑制するメカニズムをより詳しく解明するのに、物質の状態に関して制約を与える成果となりました。

図1:本研究で対象としたプチスポットサイトの位置とプチスポット近辺の詳細な海底地形図。(a)本研究で対象とした東北沖プチスポットの位置を星で示します。(b)本研究で対象としたプチスポットの3D海底地形図。(c)本研究で対象としたプチスポットを上から見た詳細な2D海底地形図。所々確認できる盛り上がりは、マグマの流れた痕跡や岩石の塊です。

*図2は、下記詳細(プレスリリース本文)よりご覧ください。

【用語解説】

注1:プチスポット
海洋プレートの屈曲に伴ってマグマが噴出する新種のタイプの海底火山。

注2:プレート境界すべり
異なるプレート同士がぶつかり合う場所では、プレート境界ですべりが生じます。ここでは特に、地震発生時にプレート境界で促進されるすべりを意味します。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学 東北アジア研究センター
准教授 平野 直人(ひらの なおと)
E-mail:nhirano*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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