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潰瘍性大腸炎の診断に有用な抗体マーカーを同定 内視鏡検査なしに血液検査での潰瘍性大腸炎診断法へ期待

【本学研究者情報】

〇病院消化器内科 病院講師 角田洋一
研究室ウェブサイト

〇病院リウマチ膠原病内科 病院講師 白井剛志
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 指定難病である潰瘍性大腸炎注1とクローン病注2などの炎症性腸疾患における血清中の抗EPCR抗体注3を、日本人集団と米国人集団を対象に調査した。
  • 両集団で、潰瘍性大腸炎の患者で抗体の陽性率が高く、炎症性腸疾患以外の患者で陽性者はいなかった。
  • 潰瘍性大腸炎の診断のほか、活動性の評価や、難治化の予測、適切な治療に導く個別化医療において有用な検査となる可能性が期待される。

【概要】

瘍性大腸炎とクローン病などの炎症性腸疾患は、若い方を中心にその患者数が急増しています。これらの疾患を正しく診断し、病状をより正確に把握するためには大腸内視鏡検査が必要ですが、内視鏡検査は肉体的にも負担が大きいため、その検査の回数を減らせる検査方法の開発が求められています。東北大学病院消化器内科の角田洋一病院講師および、同リウマチ膠原病内科の白井剛志病院講師、東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野の正宗淳教授らのグループは、国際共同研究により、国内外の炎症性腸疾患の診断における抗EPCR抗体検査の有用性を明らかにしました。本研究は、抗EPCR抗体が潰瘍性大腸炎の診断に日本人集団と欧米人集団の双方で有用であることを初めて明らかにした重要な報告です。本研究によって、血液検査による潰瘍性大腸炎の診断法や活動性の評価法の実用化が期待されるほか、将来の個別化医療に関する研究の発展が期待されます。

本研究成果は、2021年12月27日(現地時間、日本では12月28日)Clinical Gastroenterology and Hepatology誌(電子版)に掲載されました。

図1.潰瘍性大腸炎の診断に有用な内視鏡に変わる新しい血液検査
血便などの潰瘍性大腸炎を疑う患者さんの診断において、抗EPCR抗体検査は、従来用いられてきた内視鏡検査に代わる新しい検査として使用できる可能性があります。

【用語解説】

注1.潰瘍性大腸炎:血便などで発症する原因不明の大腸炎で、国の指定難病です。若年で発症することが多いですが、比較的高齢で発症することがあります。長く炎症が持続すると大腸がんを合併するリスクが高くなるため、定期的な内視鏡検査などをしながら炎症をコントロールしていく必要があります。

注2.クローン病:主に小腸や大腸に原因不明の潰瘍などの炎症をきたす難治性の慢性腸炎で国の指定難病です。若年で発症することが多く、長期にわたって定期的な検査や治療が必要となります。

注3.抗EPCR抗体:血液の凝固や血管の炎症に重要な役割を果たしている活性化プロテインCの受容体(EPCR)に対する抗体です。EPCRは血管以外でも大腸炎の炎症を抑える作用を持っているという報告があります。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学病院消化器内科
病院講師 角田 洋一
電話番号:022-717-7171
Eメール:press*gastroente.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
東北大学病院広報室
電話番号:022-717-8032
FAX番号:022-717-8931
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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