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完熟トマトは何故あんなに赤い?~カロテノイド微粒子の歪んだ現実~

【本学研究者情報】

〇多元物質科学研究所 助教 鈴木龍樹
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 成熟した野菜や果実の鮮やかな色調を生み出す色素カロテノイドの色調には、分子の「歪み」が強く影響していることを明らかにしました。
  • 天然素材が持つ本来の色調を引き出した着色技術や柔らかい分子を基盤とする新規ナノ材料の開発などへの応用が期待されます。

【概要】

野菜や果物が赤やオレンジなどに色付くのは、熟成過程でクロロフィルから生産されるカロテノイドと呼ばれる有機色素が形成する微粒子が原因です。鮮やかな色あいは種子運搬者の目に留まりやすくして生息範囲を広げる生存戦略の一環です。一般的な有機色素が芳香族を基本骨格とする剛直な分子構造を有するのに対して、カロテノイドはポリエン注1)骨格に由来する柔軟性に富む分子構造が大きな特徴です。これはカロテノイド分子が応力に応答して歪みやすく、その歪んだ形や動きに応じて分子が持つ特性も変化しやすいことを意味しています。

東北大学多元物質科学研究所の鈴木龍樹助教、奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学領域の安原主馬准教授、海洋研究開発機構の出口茂生命理工学センター長は、カロテノイドの柔らかな分子構造に由来する「歪みやすさ」がその独特の色調を生み出していること、カロテノイドの分子歪みが微粒子の光学物性(色調)に影響していることを初めて明らかにしました。天然素材が持つ本来の色調を引き出した鮮やかな着色技術や分子の歪みによって物性を制御可能な新規ナノ材料の開発などへの応用が期待されます。

本成果はアメリカ化学会が発行するThe Journal of Physical Chemistry C誌に2022年1月21日付(米国時間)でオンライン掲載されました。

図1. 有機色素の化学構造(a)カロテノイド(b)芳香族化合物

【用語解説】

注1.ポリエン
多数のエチレン結合―CH=CH―を分子内に持つ炭化水素群の総称

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
助教 鈴木 龍樹(すずき りゅうじゅ)
電話:022-217-5587
E-mail: ryuju.suzuki.e6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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