本文へ
ここから本文です

サンゴがおとなになるための遺伝子発現制御を解明 幼生から成体への発生「不可逆点」に関わる遺伝子群を同定

【本学研究者情報】

〇生命科学研究科 助教 丸山真一朗
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 造礁サンゴでは、初期発生における変態過程で、前の発生段階に戻れなくなる「不可逆点」がある。
  • 本研究では、発生初期段階にあるサンゴの幼生を用いて、この不可逆点の前後で、細胞表面のセンサータンパク質に関する遺伝子発現の変動パターンが大きく異なることを明らかにした。
  • 不可逆点後には細胞内の不要となったタンパク質が分解され、発生段階が「戻れない」状態になることが示唆された。
  • 本研究により、サンゴの重要なライフイベントに関わる遺伝子群が同定され、サンゴの生息場所決定機構の全容解明への糸口を掴むことができた。

【概要】

サンゴ礁をつくる造礁サンゴの多くは岩などに固着して一生を終えますが、幼生は親個体から離れて遊泳することで、生息場所を広げます。幼生はその後、成体(おとな)へ変態して固着するので、変態は生息場所を決める上でも重要なライフイベントと言えます。これまでこの変態過程について、ある時点より発生段階が進むとそれ以前の段階に戻れなくなる「不可逆点」があることは示されていましたが、それに関わる遺伝子制御については不明でした。今回、宮城教育大学大学院教育学研究科の石井悠研究員、東北大学大学院生命科学研究科(兼お茶の水女子大学基幹研究院)の丸山真一朗助教らのグループは、サンゴの初期発生段階における変態の「不可逆点」に関わる遺伝子制御機構を明らかにしました。本研究は、サンゴが幼生から成体に変化する過程での転換点に関わる細胞内での変化を初めて遺伝子レベルで明らかにした重要な報告です。本研究によって、サンゴの生息場所決定機構の全容解明に貢献することが期待されます

本研究結果は、1月25日のZoological Letters誌(電子版)に掲載されました。

図1.(左)産卵直前のウスエダミドリイシ(Acropora tenuis)の様子(撮影:石井宏憲)。(右)ウスエダミドリイシのプラヌラ幼生の様子(撮影:服田昌之)。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
助教 丸山 真一朗 (まるやま しんいちろう)
電話番号: 022-795-6689
Eメール: maruyama*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
Eメール: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs14

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ