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アスパラガスの近縁野生種ハマタマボウキのゲノムを解読~アスパラガスの種間交雑による品種育成に貢献~

【本学研究者情報】

〇生命科学研究科 准教授 菅野明
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • アスパラガスとハマタマボウキの全ゲノム構造が明らかになったことで、その比較から、茎枯病抵抗性の分子機構の解明に近づきました。
  • ハマタマボウキは雌雄異株であることから、雄株と雌株がもつ、それぞれ16億塩基対のゲノムを解読し、約55,000の遺伝子を同定しました。そして、雌雄株間でのゲノム構造の違いや異なるDNA配列を明らかにしました。
  • アスパラガスの雄性特異的性決定遺伝子MSE1/AoMYB35/AspTDF1をハマタマボウキの雄性系統のゲノム上に見つけました。今後も解析を進め、アスパラガスの性決定機構を解き明かしていきます。

【概要】

かずさDNA研究所、香川県農業試験場、東北大学大学院生命科学研究科は共同で、アスパラガスに近縁の野生種であるハマタマボウキのゲノム*1を解読しました。

ハマタマボウキは山口県から九州北部の砂浜海岸に自生する日本固有種で、アスパラガスと交雑できること、また、アスパラガスの主要病害のひとつである茎枯(くきがれ)病*2に抵抗性をもつことから有用な遺伝資源として注目されています。

今回ハマタマボウキの全ゲノム構造が明らかになったことにより、ハマタマボウキの茎枯病抵抗性やストレス耐性を導入したアスパラガス種間交雑品種の育成に向けたDNAマーカー*3の開発が進みます。また、種間交雑が成立する仕組みなど、種分化の進化学的な研究にも貢献できます。

研究成果は国際学術雑誌 DNA Research において、1月18日(火)にオンライン公開されました。

写真:砂浜海岸に自生しているハマタマボウキ

【用語解説】

*1 ゲノム:生物をその生物たらしめるのに必須な最小限の染色体のひとまとまり、またはDNA全体のことをいう。

*2 アスパラガス茎枯病:カビの一種(Phomopsis asparagi)により引き起こされる病害で、茎が折れやすくなり、感染が拡がると株全体が枯死することになる。

*3 DNAマーカー:DNA配列の品種間での違いを識別することで、 ゲノム上の目印としたもの。DNAマーカーによって、特定の遺伝子を含む領域が親から子へ受け継がれたかどうかが幼苗の葉からでも検定することができる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
准教授 菅野 明(かんの あきら)
TEL: 022-217-5725
E-mail: kanno*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
TEL:022-217-6193
E-mail:lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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