2022年 | プレスリリース・研究成果
6G通信向け電波制御材料 安価に大量生産 - 世界初 部材として供給可能な三次元バルクメタマテリアルを開発 -
【本学研究者情報】
〇大学院工学研究科 教授 金森義明
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 幅広い屈折率特性を有するテラヘルツ光学材料"三次元バルクメタマテリアル"を開発
- 液状樹脂に混合し任意形状に加工することを目的として、粉末状での提供を実現
- この光学材料を安価に大量生産可能な製造技術を開発
- 次世代通信技術「6G」をはじめ、医療・バイオ・農業・食品・環境・セキュリティなど幅広い分野での応用に期待
【概要】
世界ではすでに移動通信システム5Gの次の世代「6G」を見据えた研究開発が始まっており、5G用の電波(ミリ波)よりさらに波長が短いテラヘルツ波注1が使用されることが明示されています。しかしながら、テラヘルツ波の制御に適した材料が乏しいため、加工が容易かつ幅広い屈折率特性を有する新規材料の開発が求められています。東北大学大学院工学研究科の金森義明教授と岡谷泰佑助教らのグループは、自由な形状に形成可能かつ任意の屈折率特性を有するテラヘルツ光学素子の実現を目指し、メタマテリアル注2を内包した粉末状の新たなテラヘルツ光学材料の加工・形成技術を確立しました。
本研究成果は、2022年2月28日付で、Nanophotonicsに掲載されました。
図1:三次元バルクメタマテリアルの概念図
【用語解説】
注1: テラヘルツ波
光波(赤外線)と電波(ミリ波)の中間にあたる帯域の電磁波であり、赤外線のように検査・分析に用いる他、ミリ波に次ぐ次世代通信(6G)用の電磁波として期待されている。
注2: メタマテリアル
制御の対象とする電磁波の波長より小さな単位構造で構成され、自然界にはないような電磁波応答を示す人工光学物質。空間的な局在電場モード(光の状態密度)を自在に設計し得る最小の光共振器とも言え、電磁波の応答特性は主にメタマテリアルの形状で決まる。光共振器の設計次第で実効的な屈折率を自在に制御できる。要求に応じた屈折率を持つ光学材料を設計に基づき人工的に実現でき、負の屈折率、透明マント(クローキング)、完全レンズなどの実現可能性が示されている。
問い合わせ先
東北大学大学院工学研究科
ロボティクス専攻 教授 金森義明
電話 022-795-4893
E-mail: ykanamori*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
< 報道に関して >
東北大学大学院工学研究科
情報広報室 担当 沼澤みどり
TEL: 022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
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