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原子1個分の細さの半導体ヘテロ接合を実現 一次元電子系ヘテロ接合の作製に世界で初めて成功

【本学研究者情報】

大学院理学研究科 化学専攻
名誉教授 山下正廣(やました まさひろ)
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 二種類の一次元電子系(注1物質を原子レベルで精密に接合
  • ヘテロ接合(注2の構造をマクロ・原子スケールで解明
  • 「ムーアの法則」(注3の終着、原子サイズの半導体デバイス実現の可能性を示した

【概要】

20世紀中頃に発明された半導体デバイスが真空管に取って代わったことで、電子機器の性能は飛躍的に向上しました。そして21世紀初頭、半導体の回路幅は数ナノメートルにまで微細化され、いわゆる「ムーアの法則」に従い、その性能はますます向上しています。

今回、東北大学理学研究科脇坂聖憲助教、高石慎也准教授、山下正廣名誉教授らの研究グループは、ハロゲン架橋金属錯体と呼ばれる一次元半導体の二種類のヘテロ接合に成功し、その構造をマクロスケール及び原子スケールで明らかにしました。ハロゲン架橋金属錯体は金属とハロゲンが交互に一直線に並ぶ、一次元電子系と呼ばれる原子1個分の細さの電子の通り道を作ります。本研究は、「ムーアの法則」の終着点である原子サイズの半導体デバイスの実現可能性を示したものです。

本研究成果は、Nature Communicationsにて3月4日付けでオンライン公開されました。

ハロゲン架橋金属錯体[Ni(chxn)2Br]Br2 (Ni錯体, 1) [Pd(chxn)2Br]Br2 (Pd錯体, 2) の構造。配位子には1R,2R-ジアミノシクロヘキサン(chxn)を用いた。

【用語解説】

(注1)一次元電子系
電化製品等に使われる導線は三次元電子系。厚さをナノあるいは原子レベルまで薄くすると二次元電子系、幅も同様に狭くすると一次元電子系になる。これらの低次元電子系では量子性が現れる。

(注2)ヘテロ接合
性質の異なる半導体を繋ぎ合わせること。接合された状態。

(注3)ムーアの法則
ムーア博士によって提言された、集積回路に搭載される半導体デバイスの数が年々指数関数的に増大するという法則。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学大学院理学研究科化学専攻
名誉教授 山下正廣(やました まさひろ)
電話:022-795-6544
E-mail:yamasita*agnus.chem.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
電話: 022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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