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枝豆の美味しさに放射光で迫る 〜枝豆の内部構造の"みえる化"に成功〜

【本学研究者情報】

〇大学院農学研究科 助教 日髙將文
研究室ウェブサイト

〇大学院農学研究科 教授 金山喜則
 研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 東北大学キャンパス内に設置され、仙台・東北の産業への波及効果が期待される次世代放射光施設1の完成を視野に入れた研究を実施
  • ブランド化を進める枝豆の美味しさに迫る研究を仙台市の放射光トライアルユース事業2のサポートにより展開
  • 枝豆の内部構造や調理の影響を放射光により従来にない精細さで可視化
  • ナノの世界をみる巨大な望遠鏡である放射光の新たなターゲットとして、野菜や果物における応用分野を開拓
  • 子どもたちの科学に対する夢の実現に一歩(図1D参照)

【概要】

東北大学大学院農学研究科では、産業への波及効果が期待される、青葉山新キャンパスに建設中の次世代放射光施設の利用を視野に入れた研究を推進しています。

枝豆をはじめとする青果物の美味しさについては、甘さやうまみ等の測定や評価は容易ですが、柔らかさや歯ごたえといったテクスチャ※3の評価やそのメカニズムの解明は困難でした。そこで東北大学大学院農学研究科(日高將文、宮下脩平、藤井智幸、金山喜則)のグループでは、仙台枝豆のブランド化を進めるJA仙台(小賀坂行也)および世界トップレベルの実績を誇る放射光施設SPring-8(八木直人、星野真人)と共同し、次世代放射光の産業利用を目指す仙台市の放射光トライアルユース事業のサポートにより、枝豆の美味しさに迫る研究を実施しました。

その結果、枝豆の通道組織(維管束)や種皮近辺の内部構造を可視化すると同時に、茹でることで水分が種皮近辺や子葉間の隙間から入り込み、通道組織やそれに沿った亀裂から広がることによって枝豆が柔らかくなるメカニズムを、枝豆を破壊することなく示すことができました(図1A-C参照)。

本研究は、ナノの世界をみる巨大な望遠鏡である放射光の新たなターゲットとして、野菜や果物への応用分野の開拓につながる成果です。

本研究成果は2022年3月1日に国際学術誌Foodsにオンライン掲載されました。

図1:放射光によって非破壊で可視化された枝豆の内部と絵画コンクール作品
(A)枝豆の3D画像、
(B)明瞭にみえる化された通道組織 (なお同等の画像の360度回転動画外部サイトへもご覧いただけます)
(C)茹で時間によって青色で示された水分の浸入状況のみえる化により、枝豆の柔らかさとの関係が明らかに
(D)「次世代放射光と仙台の未来」絵画コンクール外部サイトへ 入賞作品

【用語解説】

1 放射光および次世代放射光施設
放射光は加速器内を飛ぶ電子の方向が曲げられたときに発生する。その放射光を利用して様々な分析を行うのが放射光施設で、ナノメートルレベルまでの物体の観察が可能。次世代放射光施設は、国内最高の性能を有する施設として完成予定で、従来の材料やデバイスの開発に加え、農学分野での活用の拡大が期待されている。

2 仙台市放射光トライアルユース事業外部サイトへ
次世代放射光施設を仙台・東北の産業におけるイノベーションにつなげるための事業。

3 テクスチャ
果物や野菜においては、硬さや歯ざわりなどの食感に関わる性質を指し、機器を用いた評価が難しいとされている。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院農学研究科 
助教 日高將文
電話 022-757-4344
E-mail
 masafumi.hidaka.a4*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院農学研究科 
教授 金山喜則
電話 022-757-4091
E-mail
 yoshinori.kanayama.a7*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院農学研究科 総務係
TEL: 022-757-4003
E-mail: agr-syom*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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