2022年 | プレスリリース・研究成果
疲労回復神話をメタ解析 運動後の筋力回復に着圧サポーターは効果的か?
【本学研究者情報】
〇大学院医工学研究科 特任助教 ネギヤシ ヤノシュ
大学院医工学研究科 教授 永富良一
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 疲労の軽減や筋力回復に対する着圧サポーター(コンプレッションサポーター)の効果について、一般化逆分散モデル注1を含むメタ解析注2を行った。
- トレーニング中またはトレーニング後の着圧サポーターの着用は、運動後の筋力回復を促進するとは言えないことが明らかになった。
- 身体運動による筋力への悪影響を軽減するための補助方法として人気の着圧サポーター使用を再考し、代替方法を模索する必要性が示唆された。
【概要】
着圧サポーターとは、筋肉や関節に一定の圧力をかける装着具で、怪我の予防や疲労の回復に効果があるとされています。特に疲労の軽減や筋力回復のために、トレーニング中や試合後に着圧サポーターを使用することが、ここ数十年来、人気を博しています。東北大学大学院医工学研究科のネギヤシ ヤノシュ特任助教、永富良一教授らの国際研究グループは、着圧サポーターが運動後の筋力回復を促進するかどうかについて、メタ解析を含むシステマティックレビューを行いました。その結果、着圧サポーターを使用しても、トレーニング中・トレーニング後の筋力回復には効果があるとは言えないことが示されました。本研究成果は、疲労を残しにくい新しいトレーニング方法を開発する必要性を示唆しています。
本研究成果は、2022年4月27日に国際科学誌Sports Medicine(電子版)に掲載されました。
図1.運動後の筋力回復に着圧サポーターは本当に効果的か?
【用語解説】
注1.一般化逆分散モデル:メタ解析において、個々の研究の効果量を計算するための最も信頼性の高い統計手法。サンプルサイズに応じて各研究の重みを調整することで、プールされた効果推定値の不正確さを最小化する。
注2.メタ解析:過去に行われた、複数の独立した研究のデータを統合して、統計的方法を用いて解析する方法。個々の研究の実施条件を加味して結果に重み付けをし、報告された全体として効果があるかどうか判別する方法。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
特任助教 Négyesi, János (ネギヤシ ヤノシュ)
教授 永富良一(ながとみ りょういち)
Eメール:negyesi*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(取材に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
電話番号:022-795-5826
Eメール:bme-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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