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社会性行動を読み取る脳波 ―うつ病や自閉スペクトラム症モデル動物に特徴的な脳の活動を発見―

【本学研究者情報】

〇大学院薬学研究科 薬理学分野 教授 佐々木拓哉
分野ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 社会性行動にかかわる新しい脳波を発見しました。これらの脳波は、前頭皮質や扁桃体という脳の部位で顕著に生じていました。
  • うつ病や自閉スペクトラム症のモデル動物では、社会性行動が減り、こうした脳波も減弱しました。
  • 我々にとって重要な「社交性」を司る脳メカニズムの一端を解明し、多様なこころの状態を読み取る将来技術の開発にもつながることが期待されます。

【概要】

私たちの生活において、他者と関わるための「社会性」は、こころの重要な性質の一つです。東北大学大学院薬学研究科の佐々木拓哉教授と久我奈穂子研究員、東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授らは、マウスを用いて、他の動物と関わるような社会性行動時に前頭皮質や扁桃体などの脳の部位から生じる電気シグナル(脳波)の測定を行いました。その結果、マウスが社交性を示す時にのみ顕著に増減する特徴的な脳波のパターンを発見しました。また、このような脳波は、慢性的なストレスでうつ状態になったマウスや、自閉スペクトラム症様の社会性が低下したマウスでは、ほとんど観察されなくなりました。逆に、これらの脳波を増強させると、社会性の行動が回復しました。以上より、こうした新しい脳波パターンが、動物の社会性行動の基盤メカニズムとして働くことが判明しました。将来的には、社交性を含む多様なこころの状態を読み取るための重要な指標の一つになると期待されます。

この研究成果は、2022年5月18日(水曜日)に米国科学誌『eLife』にオンライン掲載されました。

本研究は、科研費 学術変革領域研究A(適応回路センサス)、JST CREST(マルチセンシング)、JST 池谷ERATO事業および東京大学Beyond AI研究推進機構の研究費支援により実施しました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院薬学研究科 
教授 佐々木拓哉
電話 022-795-5503
E-mail
 takuya.sasaki.b4*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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