2022年 | プレスリリース・研究成果
二酸化炭素は日中の眠気を誘発するか? 眠気の客観的指標としての脳波に対する二酸化炭素の影響
【本学研究者情報】
〇大学院医工学研究科 教授 永富良一
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 換気の悪い混み合った屋内では、二酸化炭素濃度の上昇が日中の眠気の原因となると言われているが、因果関係は不明だった。
- 二酸化炭素濃度を厳密に制御した環境下で調べた結果、二酸化炭素が眠気を引き起こしている確かな証拠は得られなかったが、客観的な眠気の指標として使用されている脳波が、低濃度でも二酸化炭素の影響を受けていることが示された。
- 車内など密閉された空間で眠気の指標として脳波を測定する際は、環境の二酸化炭素濃度を考慮するべきことが示された。
【概要】
換気が悪く混み合った屋内では、しばしば眠気に襲われることは、誰もが経験しています。室内の高くなった二酸化炭素濃度が日中の眠気をひきおこすと言われていますが、環境中の二酸化炭素濃度と日中の眠気との間の関係を、厳密に測定した研究は、これまであまり行われていませんでした。東北大学大学院医工学研究科の永富良一教授らの研究チームは、二酸化炭素濃度を厳密に制御した環境下で日中の眠気の測定を行い、二酸化炭素が眠気を引き起こしている確かな証拠は得られなかったことを報告しました。同研究チームは、被験者に主観的な眠気を尋ねると同時に、客観的な眠気の指標として従来使用されている脳波の測定も行いました。その結果、高い二酸化炭素濃度と眠気の間に関係があるとは結論できず、脳波は被験者の眠気とは無関係に、二酸化炭素の影響を低濃度でも受けていることが示されました。従来の研究では、眠気を客観的に測定する方法として脳波の変化が用いられてきましたが、本研究の結果より、車内など密閉された空間で脳波を測定する際、眠気を正しく検出するには、環境中の二酸化炭素濃度を考慮する必要があることが示されました。
本研究成果は、2022年6月13日に国際科学誌Indoor Airに掲載されました。
図1.室内の二酸化炭素濃度上昇は日中の眠気を引き起こすと言われているが、因果関係は不明だった。厳密な測定の結果、眠気との因果関係は確認できなかったが、脳波には影響があった。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
教授 永富良一(ながとみ りょういち)
Eメール:negyesi*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(取材に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
電話番号:022-795-5826
Eメール:bme-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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