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超音速ジェット噴流の流れを従来の50倍の速さで可視化できる技術を開発 - 騒音公害や構造物破壊の抑制に期待 -

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 准教授 野々村拓
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 撮影速度の向上と撮影範囲の拡張を実現できる時空間超解像計測技術を開発
  • 圧縮センシング1と呼ばれる少ない観測データから元の情報を復元する信号処理を適用
  • 超音速ジェット噴流の速度場計測と音響計測に適用し、速度場2の変動を連続的な画像として再構成することに成功
  • 流体力学に限らず様々な分野の超高速・複雑現象の理解を飛躍的に発展させることが期待される

【概要】

超高速な物理現象を、高精細かつ連続的に撮影できる高速度カメラは、物理を解き明かすための強力なデバイスの1つです。しかし、最新鋭の高速度カメラをもってしても撮影速度が十分とは言い難く、さらなる高速化が望まれます。

この度、東北大学大学院工学研究科の野々村拓准教授らの研究グループは、画像計測と音響計測の2つの異なる同時計測データに対して、圧縮センシングと呼ばれる少ない観測データから元の情報を復元する信号処理を適用することで、撮影速度の向上と計測空間の大幅な拡張を実現できる時空間超解像計測技術を開発しました。

当技術は、時間解像度は高いが空間解像度が低いマイクロフォン(点センサ)と、空間解像度は高いが時間解像度が低い高速度カメラの撮影画像を、低次元モデルで融合し、時間と空間の解像度を両立した画像を再構成するものです(図1)。これを超音速ジェット噴流の速度場計測と音響計測に適用し、これまで計測が難しかった速度場の変動を連続的な画像として50倍の撮影速度で再構成することに成功しました(参考動画)。

この技術には汎用性があり、種々の可視化手法と点センサを組み合わせることで、流体力学に限らず様々な分野の超高速・複雑現象の理解を飛躍的に発展させることが期待できます。本研究成果は、2022年6月28日に科学誌「Journal of Visualization」のオンライン版で公開されました。

図1 時空間超解像計測手法の概要

【用語解説】

注1 圧縮センシング
少ない観測データから欠損した情報を補い、元の信号を復元する技術。医療分野のMRI画像が最たる例であり、画像データが持つ"画像らしさ"を数理的に表現することで欠損した情報を補い、撮影の高速化と高解像度化を実現している。本研究では流体(空気や水)のもつ"流体らしさ"を利用して、速度場の欠損した情報を再構成している。

注2 速度場
空間上の各点における流体(空気や水)の速度を表現したもの。ジェット噴流や渦などは局所的に異なる速度と方向を持ち、これを観測することで流れの運動を示すことができる。本来、速度場は3次元空間上の3方向成分として表現されるが、今回は観測上の都合から、2次元平面上の2成分のみの分布を速度場と呼ぶ。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院工学研究科
准教授 野々村拓
電話 022-795-7897
E-mail nonomura*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

< 報道に関して >
東北大学大学院工学研究科情報広報室
担当 沼澤 みどり
電話 022-795-5898
E-mail eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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