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旧石器時代終末の北海道から本州への移民時期を確定 -山形県大石田町角二山遺跡の発掘成果-

【本学研究者情報】

〇大学院文学研究科 考古学専攻分野 教授 鹿又喜隆

【発表のポイント】

  • 山形県大石田町角二山(かくにやま)の再発掘調査で、黒曜石でできた石器が出土
  • 約18,000年前(暦年較正)後期旧石器時代の石器であることを確定
  • 黒曜石の産地と製作技術から、旧石器時代終末の北海道から本州への移民時期が約18,000年前であると結論

【概要】

山形県角二山遺跡は、細石刃注1を特徴とする後期旧石器時代の遺跡で、1970年に最初の発掘がなされました。遺跡から出土した石器の製作技術は北海道に多くみられる湧別技法であることから、その技術が東北日本に南下したことが判明していました。しかし、南下の年代は明らかになっていませんでした。

東北大学大学院文学研究科考古学研究室の鹿又喜隆教授らは、2017~2020年に同遺跡を再発掘し、黒曜石でできた細石刃や細石刃核、彫刻刀形石器、剥片、砕片などの石器を得ました。蛍光X線元素分析により、黒曜石には北海道白滝産と秋田県男鹿産があることが判明しました。前者は北海道にみられる製作技術、後者は本州にみられる技術で作られています。また、在地の頁岩を使い湧別技法によって作られた石器が出土総数の大多数を占めます。炭化物の放射性炭素年代測定を行ったところ、いずれも較正年代で約18,000年前の所産であることがわかりました。

こうした状況から、北海道からの移民が、男鹿産の黒曜石をもった在地の人々と行動を共にし、山形県角二山遺跡のある土地にやってきたのは約18,000年前のことだったと結論できます。

本成果は、Springerから2022年6月に出版された電子書籍『Quantifying Stone Age Mobility』に掲載されました。

図. 出土品(出土状況、発掘現場遠景については、下記リンクよりPDFをご覧ください。)

【用語解説】

注1 細石刃: 長さ2㎝、幅5㎜ほどの薄く細長いカミソリの刃のような石器。骨角器の側縁の溝に嵌め込んで、槍や銛などの組合せ式の道具として使われた。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院文学研究科 教授 鹿又喜隆 
電話 022-795-6071
E-mail Yoshitaka.kanomata.d8*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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