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3D積層造形用ステンレス鋼材の高耐食化の新機構を発見 モリブデン濃化組織を有する高耐食鋼を開発

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻
教授 武藤泉
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • ステンレス鋼中にモリブデン(Mo)が濃縮した第二相を分散させることで、従来材よりも高い耐食性が得られることを発見。
  • 3D積層造形材に応用できる新しい高耐食化機構として期待。

【概要】

ステンレス鋼※1は高い耐食性を有していますが、海水などの塩化物水溶液中では腐食が発生する場合があり、それが課題でした。

東北大学大学院工学研究科知能デバイス材料学専攻の齋藤遥氏 (博士後期課程)と武藤泉教授らは、高耐食化元素として知られるMoを固溶※2させるのではなく、独立した第二相として濃化・分散させた新規の焼結ステンレス鋼を開発しました。従来材よりも約4倍の高い耐食性を有することを実証し、その高耐食化の機構を解明しました。今回開発した高耐食ステンレス鋼とその機構は、3D積層造形技術により製造する鋼の高耐食化に広く応用できるものと期待されます。

本成果は、2022年8月22日(現地時刻)に国際学術雑誌Materials Today Communications (Elsevier)のオンライン版で公開されました。

開発した高耐食ステンレス鋼

【用語解説】

注1 ステンレス鋼
鉄(Fe)に約11%以上のクロム(Cr)を添加した鋼。耐食性などを向上させるため、ニッケル(Ni)やモリブデン(Mo)を添加することがある。代表的な鋼種はSUS304 (Fe-18%Cr-8Ni)とSUS316 (Fe-17%Cr-12Ni-2.5%Mo)であり、熱処理に伴う耐食性の低下を抑制するために炭素(C)量を低減した鋼種もあり、SUS304LおよびSUS316Lと表記する。

注2 固溶
二種類以上の元素が、均一に溶け合っている状態。このような物質を固溶体と呼ぶ。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

< 研究に関すること >
東北大学 大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻
教授 武藤 泉
TEL:022-795-7298
E-mail: mutoi*material.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

< 報道に関すること >
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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