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よく寝た子は食いしばらない エコチル調査から見えた乳幼児期の睡眠時間と歯ぎしり癖との関連

【本学研究者情報】

〇病院顎口腔機能治療部 助教 土谷忍
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • エコチル調査注1のデータ(90,148名)を使用して、乳幼児期の睡眠時間と歯ぎしり癖の発生との関連について解析を行い、相関を見た。
  • 乳幼児期、特に新生児期の睡眠時間が短いと歯ぎしり癖の発生率が高くなる傾向があった。
  • 特に夜間の睡眠時間が歯ぎしり癖の発生と強く関連していた。

【概要】

歯ぎしりは睡眠障害と関連があることが知られています。東北大学病院の土谷忍助教、東北大学大学院医学系研究科の有馬隆博教授、八重樫伸生教授、門間陽樹講師、医工学研究科の永富良一教授、東北福祉大学保健看護学科の土谷昌広教授らのグループは、環境省が実施している子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の90,148名を対象に、乳幼児期の睡眠時間(1か月、6か月、1歳、1歳半、3歳時)と歯ぎしり癖の有無(2歳時、4歳時点)の関連について解析を行いました。その結果、乳幼児期の睡眠習慣が将来的な歯ぎしり癖に影響を与える可能性が示唆されました。具体的には、新生児期(1か月時点)の睡眠時間が短いほど、歯ぎしり癖の発生が高い傾向(2歳と4歳時点の両方)が確認されました。この傾向は6か月時点でも確認されましたが、3歳時点の睡眠時間の場合には認められませんでした。特に、夜間の睡眠時間が歯ぎしり癖の発生と強く関連しており、2歳と4歳時点の両方で歯ぎしり癖が確認された子ども(習慣的な歯ぎしり癖がある)ではその傾向(睡眠時間が短いほどリスクが高い)はより顕著なものでした。

本研究の成果は、2022年8月6日付でSleep Medicineに掲載されました。

※本研究の内容は、すべて著者の意見であり、環境省及び国立環境研究所の見解ではありません。

図1.生後1か月時の睡眠時間と4歳時の歯ぎしり癖の関連
母親の睡眠時間、教育歴、喫煙、飲酒、うつ病の既往、パートナーの育児協力度、世帯収入、子どもの兄弟、睡眠時の姿勢、3歳時の睡眠時間の影響を調整している。新生児期の睡眠時間が長いほど歯ぎしり癖を持つ子どもの割合は減少した。

【用語解説】

注1. 子どもの健康と環境に関する全国調査(以下、「エコチル調査」)は、胎児期から小児期にかけての化学物質ばく露が子どもの健康に与える影響を明らかにするために、平成22(2010)年度から全国で約10万組の親子を対象として環境省が開始した、大規模かつ長期にわたる出生コホート調査です。臍帯血、血液、尿、母乳、乳歯等の生体試料を採取し保存・分析するとともに、追跡調査を行い、子どもの健康と化学物質等の環境要因との関係を明らかにしています。
エコチル調査は、国立環境研究所に研究の中心機関としてコアセンターを、国立成育医療研究センターに医学的支援のためのメディカルサポートセンターを、また、日本の各地域で調査を行うために公募で選定された15の大学等に地域の調査の拠点となるユニットセンターを設置し、環境省と共に各関係機関が協働して実施しています。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学病院 顎口腔機能治療部
助教 土谷 忍 (つちや しのぶ)
電話番号:022-717-8277
Eメール:shinobu.tsuchiya.c2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学病院広報室
電話番号:022-717-7149
FAX番号:022-717-8931
Eメール:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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