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骨の質を高めるチタンインプラント ―インプラントの骨内での安定性を高める技術開発へ期待―

【本学研究者情報】

〇大学院歯学研究科 准教授 山田将博
大学院歯学研究科 教授 江草宏
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • チタン製の人工歯根を支える骨の質を高めることができれば、インプラント治療の長期的な成功率を向上させることができる。
  • しかし、骨の代謝を活性化させることで骨の質を高めるインプラント材料はこれまでなかった。
  • チタンインプラント表面に無数のナノ突起をつくることで、骨の中の大多数を占め、骨代謝の活性を司る骨細胞*1が物理的に接触刺激されることにより、骨細胞同士の三次元ネットワークの形成が促進されてインプラントを支える骨の質が高められることがわかった。

【概要】

歯科用インプラント治療では、インプラント周囲の骨の質がその長期的な成功に重要であると考えられています。しかしこれまで、インプラント自身が周囲の細胞に直接働きかけて、骨の質を高める技術はありませんでした。

東北大学大学院歯学研究科 分子・再生歯科補綴学分野の山田将博准教授および江草 宏 教授らの研究グループは、歯根表面に存在する歯周組織の一部であるセメント質の物理的性質を模倣したチタン表面を開発しました。さらには、顎口腔矯正学分野と共同で、その生体模倣チタンインプラントの表面に存在するナノ突起が、インプラント表面に付着した骨細胞を物理的に刺激し、周囲の細胞への情報伝達を活性化することにより、骨質向上に重要な骨細胞の三次元ネットワーク網の形成を促すことを明らかにしました。本研究成果により、ナノ表面形態を付与することにより骨質を高める歯科用インプラント材料の開発が期待できます。

本研究成果は、2022年8月20日に米科学誌Acta Biomaterialiaのオンライン版に掲載されました。

図1.チタンナノ表面のナノ突起の物理的接触刺激による骨細胞ネットワークの形成機構の概要

【用語解説】

*1 骨細胞:骨をつくる骨芽細胞が骨形成後に骨中に埋め込まれた状態で存在する細胞である。骨を構成する細胞の大部分を占め、神経細胞のような長い細胞突起を形成することにより、骨内で他の骨細胞と連結し、網目状の三次元ネットワークを形成する。骨細胞や骨を取り除く破骨細胞へ情報伝達し、それら細胞の機能を制御することで、骨代謝を調整する役割を担う。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
分子・再生歯科補綴学分野
准教授 山田 将博(やまだ まさひろ)
E-mail: masahiro.yamada.a2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院歯学研究科
分子・再生歯科補綴学分野
教授 江草 宏(えぐさ ひろし)
E-mail: egu*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科広報室
電話: 022-717-8260
E-mail: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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