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「長い1960年代」の日本とイタリアを比較する英文書籍、両国研究者の協力で出版 ─現代社会への影響の理解に重要な情報提供─

【本学研究者情報】

〇大学院文学研究科 准教授 クレイグ・クリストファー
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 「長い1960年代」と呼ばれる時期は、高度経済成長と様々な社会・学生運動、文化の興隆が起こりました。その時代について、日本とイタリアの8名の研究者が 英語で説明する本を20223月に刊行しましたが、2022101日からオンラインでの販売が始まります。イタリアと日本の高度成長期を共同で比較したのは初の試みだと考えています。
  • この時期は、現在の社会の基盤となる時期で、今後もローマ・ラ・サピエンツァ大学と共同で「長い1960年代」(Long 1960s*1の教育研究活動を行い、現代社会の特徴を解明していきます。共同研究を組織する東北大学日本学国際共同大学院では、ヨーロッパや北米の15カ国25大学と「支倉リーグ」*2という学術的なネットワークをつくっており、この書籍の刊行もその一環です。

【概要】

1950年代の半ばから1970年代の半ばまで続いた「長い1960年代」は、社会・政治の変化や既存秩序への挑戦という状況から作られた用語です。この時期、イタリアと日本では、政治社会文化の変化とそれによる混乱が生じました。両国は、ともに第二次世界大戦において敗戦という厳しい経験をし、戦後の世代交代による社会的な混乱に直面しながら新しい国際秩序に適応しなければなりませんでした。このため、大きな政治・社会の変動や大規模な社会・政治運動を生みだし、両国の価値観を揺るがせました。

その変化や動きは共通するものがある一方で、大きな違いも存在しています。そして、この時代の変化は、両国の現代社会に大きな影響を与えています。 本書は、イタリアと日本からそれぞれ4名の歴史学者を集めて、両国における"Long 1960s"を比較や対照することで、共有する歴史の新しい視角を提示するとともに、それぞれの現代社会をより深く理解するうえで必要な考えを提供します。

書影

【用語解説】

*1 長い60年代
1950年代から70年代にかけての長い期間に世界中で起きた経済・社会・文化の革命的変化を「長い60年代」(Long 1960s)と呼ぶ。この高度経済成長は社会・人口構造に大きな変動をもたらし、その変動は世界各地の文化や政治にも影響を及ぼした。この時代が現代社会に及ぼした影響を検証する研究が国内外で数多く行われている。

*2 支倉(はせくら)リーグ
東北大学と海外の有力大学との間で、学生・教員が国際・学際的「日本学」の学術交流を推進するネットワーク進取の気性をあらわす代名詞ともいえる仙台藩士であり、伊達政宗の命による遣欧使節として礼節と見識を示した支倉常長の名を冠している。従来の大学間協定が一対一ないしは複数間での線的な協定であったのに対し、面的なネットワークを重視する点に際立った特徴がある。現在、欧米を中心に25大学が参加し、今後アジア、アフリカ、中南米等への拡大も計画している。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学日本学国際共同大学院プログラム 
担当 文学研究科准教授 クレイグ・クリストファー
日本学国際共同大学院支援事務室
電話 022-795-3267
E-mail gpjs*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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