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炭素原子膜グラフェンに含まれる微量元素量の計測に成功 ドーピングによるグラフェン機能制御へ大きな進展!

【本学研究者情報】

〇国際放射光イノベーション・スマート研究センター(兼)多元物質科学研究所 助教 小川 修一
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 放射光を利用して、原子1層分の厚みしかないグラフェンに含まれる微量元素の量を計測することに成功
  • 微量元素のドーピング量に応じてグラフェンの電子状態が変化することを発見し、電気伝導性変調の効果を検証
  • 本計測技術はグラフェンを使った電池電極の性能向上や高速半導体デバイスの開発に大きく貢献

【概要】

グラフェンは炭素原子が六角形の網目状につながった原子1個分の厚さの膜で、すでに防錆膜や酸化保護膜で実用化しているほか、次世代の電池や高速半導体デバイスへの発展が期待されています。このグラフェンの機能を制御するためには、グラフェンに他の元素を添加する「ドーピング」が不可欠です。従来手法では極めて薄いグラフェンにドーピングされた元素の量を測ることは難しく、ドーピング量と機能の変化を比較することは困難でした。

東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター(兼多元物質科学研究所)の小川修一助教らの研究グループと日本原子力研究開発機構、産業技術総合研究所、静岡大学との共同研究チームは、放射光を利用した光電子分光法注1を用いてドーピングされたカリウムの量を測ることに成功しました。

研究成果は2022年9月12日(現地時間)にオランダ学術出版大手の専門誌「Applied Surface Science」にオンライン掲載されました。

【用語解説】

注1. 光電子分光法
物質にX線や紫外線など短波長の光を当てると、電子が物質から飛び出す「光電効果」という現象が起こります。飛び出た電子を光電子といい、その光電子が持っているエネルギーとその数を計測する手法を「光電子分光」と呼びます。光電子分光法では物質の化学状態や、物質に含まれている元素の量を調べることができます。しかし元素の量が少なくなると光電子の量も少なくなり、測定が難しくなりますが、今回はコンピュータによる自動解析を活用することで少量のカリウムの量を明らかにすることができました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター
多元物質科学研究所(兼務)
助教 小川 修一(おがわ しゅういち)
電話 022-217-5367
E-mail ogasyu*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
広報情報室
電話 022-217-5198
E-mail press.tagen*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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