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排ガス浄化のための酸素貯蔵セラミックスを低温作動化 ─EUの排ガス規制厳格化への対応に期待─

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻 教授 高村仁
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 酸素貯蔵セラミックス(注1)が400 ℃で従来の13.5倍の貯蔵量を達成
  • 優れた酸素貯蔵特性を示す結晶構造を従来よりも400 ℃低い温度で合成
  • 排ガス浄化触媒の特性向上やパラジウム等の貴金属使用量低減に期待

【概要】

自動車産業では電動化に加え、欧州で策定中のEuro7(注2)など排ガス規制強化への対応が喫緊の課題です。排ガス浄化触媒の高性能化と貴金属使用量削減の鍵を握るのが酸素貯蔵セラミックスです。東北大学大学院工学研究科知能デバイス材料学専攻の高村仁教授らは、セリウム・ジルコニウム系酸化物にコバルトと鉄を固溶させ、400 ℃という低い作動温度で従来の13.5倍の酸素貯蔵量を達成しました。また、優れた酸素貯蔵特性を示す結晶構造を得るために、これまで合成に1200 ℃という高温が必要でしたが、その温度を800 ℃に低減しました。この酸素貯蔵セラミックスの低温作動化と高性能化は触媒中のパラジウム等の貴金属使用量削減にも貢献します。

本成果は2022年9月27日(現地時間)に英国王立化学会の国際学術誌「Journal of Materials Chemistry A」に掲載されました。

図1:排ガス触媒用ハニカム(左)と今回開発された酸素貯蔵セラミックス(右)

【用語解説】

注1 酸素貯蔵セラミックス
周囲のガス雰囲気(酸化・還元雰囲気)に応じて、構造を保ったまま酸素の貯蔵・放出が可能なセラミックスの総称。自動車の排ガス触媒において、セリウム・ジルコニウム系酸化物(Ce1-xZrxO2)が広く用いられている。

注2 Euro7
欧州連合(EU)が2025年に施行するため策定作業を進めている自動車排ガス規制の通称。規制対象物質の追加や検査条件の厳格化等が検討されている。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

< 研究に関すること >
東北大学 大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻
教授 高村 仁
TEL:022-795-3938 
E-mail: takamura*material.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

< 報道に関すること >
東北大学工学研究科・工学部 情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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