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世界一のベクトル型スパコン、東北大学に誕生!社会を支えるインフラとして防災減災にも貢献

【本学研究者情報】

〇サイバーサイエンスセンター 教授 滝沢寛之
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • スカラ型*1の「富岳」とは得手不得手の異なる、特色のあるベクトル型*1のスーパーコンピュータ(スパコン)を2023年8月に大幅に増強することで、ベクトル型としては世界一の性能を達成。
  • 既設のスパコンと比較して14倍以上の性能向上によって、スパコン本来の用途である科学技術計算のさらなる大規模化と高速化を実現しつつ、データ駆動科学や人工知能(AI)といった新しい応用分野にも利用範囲を拡大。
  • 他のスパコンにはない特徴的な機能として、学術目的の利用を地震等の緊急時にはいったん中断し、津波浸水被害推計等の防災減災のための緊急対応を実行する機能を実現。今回の大幅な増強により、Society 5.0時代の安全安心を支える社会インフラとしてもさらなる活用方法の開拓を期待。

【概要】

東北大学サイバーサイエンスセンター*2はカタログ上の性能ではなくて実際に使った時の性能を重視し、ベクトル型のスーパーコンピュータ(スパコン)を整備・運用してきました。同センターで現在運用しているベクトル型スパコン(通称AOBA)は科学技術計算において実際に高い性能を達成できるため、日本全国の利用者からの高い支持を得てきました。その高い需要に応えるために、2023年8月よりベクトル型スパコンを大幅に増強します。その性能は14倍以上になり、ベクトル型スパコンとしては世界最大の規模となります。世界最大のベクトル型スパコンを整備するだけにとどまらず、その活用技術に関する世界的拠点を東北大学に形成することも目指し、産学連携を今後さらに進めていきます。特に近年はデータ駆動科学やAIといった新しい応用分野でのスパコン需要も拡大していることから、それらの分野におけるベクトル型スパコンの活用技術を開拓していきます。他のスパコンにはない特徴的な役割として、同センターのスパコンAOBAは、緊急時には減災のための社会基盤として機能することもできます。平時は学術目的で利用しつつ、地震等の災害時には緊急対応として減災のためのシミュレーションを実行します。今回の大幅な増強によって、そのような新しいスパコンの使い方もより広く検討できるようになり、Society 5.0*3時代の安全安心を支える社会インフラとしてもさらなる活用方法の開拓が期待されます。

【用語解説】

*1 スカラ型とベクトル型  
多くのデータをまとめて処理する「ベクトル命令」を持つプロセッサ(CPU)をベクトル型プロセッサと呼び、それを搭載するスパコンをベクトル型スパコンと呼ぶ。その対義語はスカラ型である。富岳のプロセッサなど、スカラ型に分類されるプロセッサでもベクトル命令(SIMD命令)を持つものもあり、両者の違いはあいまいになりつつある。しかし、最新のスカラ型では最大8個のデータをまとめて処理するのに対して、ベクトル型では256個ものデータをまとめて処理することができる。また、そのような大量なデータに一括してアクセスするためのメモリ性能も強化されており、科学技術計算において高い性能を期待できる。

*2 東北大学サイバーサイエンスセンター  
前身は東北大学大型計算機センターで、大学教員などの研究者が学術研究等のために利用する全国共同利用施設として1969年に設置された。現在は、東北大学の学内共同教育研究施設等、かつ全国共同利用に資する共同利用・共同研究拠点として、研究、教育等に係る情報化を推進するための研究開発、並びに情報基盤の整備・運用を行い、本学の高度情報化の推進において中核的な役割を担っている。

*3 Society 5.0  
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において日本が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(スパコンに関すること)
東北大学情報部
情報基盤課共同利用支援係
担当 小野、山下
電話 022-795-6251
E-mail 
cc-uketuke*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学情報部
情報基盤課総務係
担当 今野、神田
電話 022-795-3407
E-mail 
cc-som*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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