2022年 | プレスリリース・研究成果
腎結石の治療に新たな可能性 ~糖尿病治療薬(SGLT2阻害薬)による腎結石の形成抑制作用を、世界で初めて検証~
【本学研究者情報】
〇医学系研究科内分泌応用医科学分野 助教 廣瀬卓男
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- <疫学研究より>・・SGLT2阻害薬は日本の男性糖尿病患者での尿路結石罹患割合の減少と関連していました
- <動物実験、細胞実験より>・・SGLT2の阻害が腎結石形成を抑制し、その機序に炎症反応が関与していることを明らかにしました
- SGLT2阻害薬は腎結石に対する有望な治療アプローチとなる可能性があります
【概要】
東北医科薬科大学医学部泌尿器科学教室 阿南 剛(あなん ごう)助教(現:四谷メディカルキューブ泌尿器科科長)と統合腎不全医療寄附講座 / 東北大学大学院医学研究科 廣瀬 卓男(ひろせ たくお)助教、東北医科薬科大学病院薬剤部 菊池 大輔(きくち だいすけ)副薬剤師長らの研究グループは、糖尿病治療薬として使用されているSGLT2阻害薬の腎結石形成抑制効果を明らかにしました。日本人の大規模患者データベースを用いた疫学研究ならびに腎結石形成モデルを用いた動物実験、培養細胞実験から、SGLT2の阻害により結石形成が抑制され、これには腎尿細管での炎症反応が関与していることを明らかにしました。本研究の成果は根本的治療薬のない尿路結石症の病態理解や治療法の開発に役立つことが期待され、「すべての人に健康と福祉を」のSDGsに貢献します。
本研究成果は2022年11月6日付け(日本時間)で国際専門誌Pharmacological Research誌に掲載されました(doi: https://doi.org/10.1016/j.phrs.2022.106524)。

図1: 腎結石形成モデルラットではフロリジン(SGLT1/2阻害薬)投与により腎結石形成が抑制された
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