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無電極プラズマ宇宙推進機の性能向上に成功 ~大電力・長寿命電気推進による宇宙輸送技術の実現へ前進~

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 電気エネルギーシステム専攻
准教授 高橋和貴
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【発表のポイント】

  • 大電力・無電極の磁気ノズルプラズマ推進機の推進効率を約30%まで向上
  • イオンエンジン*1やホールスラスタ*2に続く次世代の大電力電気推進機の実現に期待

【概要】

種々の宇宙ミッション実現には宇宙機へのエンジン搭載が必要になります。高周波プラズマ源と磁気ノズルによるプラズマ加速を経て宇宙空間へ燃料を噴射し推力を発生する無電極プラズマ推進機*3は、次世代の大電力宇宙推進機として期待されています。一方、推進効率の向上と物理課題の解明が大きな課題となっています。

東北大学大学院工学研究科および非平衡プラズマ学際研究センター プラズマフロンティア科学部門の高橋和貴准教授 (JST創発研究者) は、プラズマ発生部にカスプと呼ばれるプラズマ閉じ込め磁場構造を印加することで壁面へのエネルギー損失を抑制できることを見出し、高周波電力から推進エネルギーへの変換効率が以前の20%から約30%に向上したことを室内実験で明らかにしました。さらに、理論モデルによって実験結果を説明できることを示しました。

本研究成果は2022年11月10日(現地時間)にネイチャーパブリッシンググループの英国科学雑誌Scientific Reports(電子版)に掲載されました。今後、作動環境の影響(スペースチャンバーのサイズや残留ガスの影響)の検証や、エンジニアモデル・プロトタイプの開発、関連する物理現象の理解を国際共同研究も含めて進める予定です。

無電極プラズマ推進機試験装置(Mega-HPT)(左)と、推進機から磁気ノズルに沿って噴射されるプラズマ流の様子(右)

【用語解説】

*1-イオンエンジン:イオンを静電場で加速・噴射することで推力を得る電気推進方式。

*2-ホールスラスタ:円環状の放電領域に半径方向磁場および軸方向電場を印加し、ホール効果によって電子を閉じ込め電離を促進し、軸方向電場でイオンを加速する電気推進方式。

*3-無電極プラズマ推進機:プラズマに接触する電極が存在しないタイプの電気推進方式であり、スパッタリングによる電極損傷の問題が避けられるため、大電力化と長寿命化の両立が期待される。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

< 研究に関すること >
東北大学 大学院工学研究科 准教授/JST創発研究者 高橋 和貴
TEL: 022-795-7064 
E-mail: kazunori.takahashi.e8*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

< 報道に関すること >
東北大学 大学院工学研究科 情報広報室 担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898 
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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