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6重界面の界面垂直型強磁性磁気トンネル接合素子で最先端マイコン製造時の260℃でのデータ保持耐性と1千万回以上の書き換え耐性を実証 ~1桁nm世代の最先端マイコン用混載不揮発メモリの高性能化と大容量化に道を開く~

【本学研究者情報】

〇国際集積エレクトロニクス研究開発センター センター長 遠藤哲郎
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 垂直磁気異方性の起源である記録層と酸化マグネシウム層の界面数を従来の3倍増加した「6重界面界面垂直型強磁性磁気トンネル接合素子(iPMA Hexa-MTJ)」を開発し、25 nmの極微細接合加工後に260℃のチップ組み立てのはんだ付け工程中のデータ保持と1千万回以上に到達する書き換え耐性を同時に達成できることを世界で初めて実証
  • 先端1桁ナノメートル世代(X nm世代)のロジックデバイス(論理演算素子)のデザインルールに適合するiPMA Hexa-MTJを開発
  • 開発したiPMA Hexa-MTJは半導体バックエンドプロセス(配線工程)に必要な400℃の熱耐性を持ち、チップ組み立てでのはんだ付け工程でのデータ保持に必要な熱安定性を有しており、高性能かつ大容量のAIマイコン等への応用の道を開く

【概要】

デジタル革新で創る持続可能な社会のSociety5.0や2020年に政府が宣言した2050年カーボンニュートラル(脱炭素)社会の実現のためには革新的な人工知能(AI)や半導体技術が不可欠となります。Society5.0ではすべてのモノとヒトがIoT(Internet of things)でつながり、AIにより必要な情報が瞬時に取り出され、ロボットや自動走行車によって人の可能性が広がります。これらを実現するためにはデータをモノやヒトの近くで瞬時にインターネットにつながったエッジデバイスで処理して判断する必要があり、その中核をなす半導体素子の高性能化と低消費電力化が求められています。

東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センターの遠藤哲郎センター長・教授のグループは、6重界面磁気トンネル接合素子(iPMA Hexa-MTJ)を開発し、工業製品化されている従来の2重界面磁気トンネル接合素子(Double-MTJ)では困難であった25nmの微細MTJにおいて 260℃のソルダーリフロー耐性、 1千万回(1×107回)以上に到達する高書込み耐性、 半導体プロセスに適合した400℃の耐熱性を、iPMA Hexa-MTJ素子で同時に達成しました。

今回、性能を実証した25 nm のiPMA Hexa-MTJ は1桁nm世代 (X nm世代)の最先端のロジック半導体プロセスのデザインルールに適合しています。これにより、STT-MRAMの適用範囲が最先端半導体微細加工領域にまで拡大することから、IoTやAI等の幅広い分野でのエッジデバイス等のプロセッサ(CPU)やマイコン(マイクロコントローラ)における低消費電力・高性能化が図られ、Society5.0やカーボンニュートラル社会の実現へ大きく貢献することが期待されます。本成果は、2022年12月3日~7日の期間に米国サンフランシスコで開催される、電子デバイスに関する世界最高峰の国際会議である「米国電子情報学会主催の国際電子デバイス会議(IEEE International Electron Device Meeting)」で発表されました。

図1:本研究で開発したHexa-MTJ素子構造。低抵抗で高いTMR比、高い垂直磁気異方性、磁気特性の温度変化が小さいなどの優れた特性を持ちます。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

◆研究内容及びセンターの活動に関して
東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター
センター長・教授 遠藤哲郎 
TEL:022-796-3410

◆その他の事項について
東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター
支援室長 柴田 一  
TEL:022-796-3410 FAX:022-796-3432
E-mail:support-office*cies.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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