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垂直な建物が傾いて見える錯視の謎を解明 〜鍵は身体の傾きと直線移動の組み合わせ〜

【本学研究者情報】

〇電気通信研究所 准教授 曾加蕙(Chia-huei Tseng)
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 垂直な建物が傾いて見える錯視が起きる仕組みの一部を解明しました。
  • この錯視には、視覚情報よりも身体の前後の傾きと直線移動の組み合わせが大きく関与している事を明らかにしました。
  • 実験室での再現が難しいこの錯視について、錯視が強く生じる香港のビクトリアピークのケーブルカーで実験を行いました。
  • この研究成果は現実空間での垂直の知覚を歪める技術につながり、エンタテインメントや情報通信技術への応用が期待できます。

【概要】

縦方向の真っ直ぐ、すなわち「垂直」をほぼ間違いなく知覚できる能力は、自分の姿勢を正しく保つ場合など、私達がこの環境で生きていく上で極めて重要な意味を持ちます。しかし、この能力が正しく機能せずに錯視が生じる場合があります。この謎に挑んだ東北大学電気通信研究所の曾加蕙(Chia-huei Tseng)准教授と東北学院大学人間科学科の櫻井研三教授らの国際研究チームは、実験室での再現が難しいこの錯視の仕組みを探るため、垂直のビルが傾いて見える錯視で知られる香港のビクトリアピークのケーブルカー「ピークトラム」で垂直に感じる向きを調べる実験を実施しました。その結果、身体の前後の傾きと直線移動が同時に組み合わされた場合に垂直に感じる向きが歪み、この錯視が生じることを明らかにしました。

今回発表の論文は2022年12月21日13時(日本時間)、オランダの国際学術出版社ブリルの多感覚情報処理専門誌「Multisensory Research」に掲載されました。

図1: 実験の設定
実験の一部は香港の歴史的交通機関であるピークトラム(ビクトリアピークに登るケーブルカー)の中で実施されました。SHVを測定する装置は樹脂製の棒と木製の台で作成しました。実験では、参加者が主観的に垂直だと感じる角度にこの棒の向きを合わせました。棒の回転軸の中心に棒の角度の表示器を取り付け、表示器を実験のセッション毎に水準器で較正しました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学電気通信研究所
准教授 Chia-huei Tseng
電話 022-217-5470
E-mail tseng*riec.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学電気通信研究所
総務係
電話 022-217-5420
E-mail riec-somu*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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