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ヨーグルトの習慣的な摂取と中耳炎予防 全国出生コホート調査(エコチル調査)の乳幼児約10万組のデータから

【本学研究者情報】

〇病院顎口腔機能治療部 助教 土谷忍
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • エコチル調査(注1)のデータ(95,380組)を利用して、乳幼児期の中耳炎発症とヨーグルトの習慣的な摂取頻度との関連について解析しました。
  •  ヨーグルトの摂取頻度が高いほど中耳炎の発症リスクが低下する傾向が確認されました。

【概要】

近年の研究により、プロバイオティクスス(注2)には中耳炎の予防効果があることが知られています。しかし生活習慣としてヨーグルトを摂取することにどの程度の効果があるかについては不明でした。

東北大学病院の土谷忍助教らのグループは、環境省が実施している子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の95,380組の親子を対象に、中耳炎発症の有無(6か月、1歳、1歳半、2歳時点での罹患を確認)と、母子それぞれのヨーグルトの習慣的な摂取頻度の関連について解析を行いました。その結果、ヨーグルト摂取が高頻度なほど、乳幼児期の中耳炎発症リスクが低下することを認めました。最も顕著な効果は生後6 カ月時の中耳炎発症との関連で認められ、摂取しない群と比較して、毎日ヨーグルトを摂取する子どもでは37%のリスク低下が統計的に有意であることが示されました。

本研究の成果は、2023年5月17日付でProbiotics and Antimicrobial Proteinsに掲載されました。

※本研究の内容は、すべて著者の意見であり、環境省及び国立環境研究所の見解ではありません。

※この研究をもって乳製品の積極的な摂取を推奨するものではありません。

図1 母子それぞれの摂取習慣と子どもの中耳炎の罹患リスク(子どもの年齢ごとの評価)
ヨーグルト摂取頻度が高いほど、中耳炎の罹患リスクは減少し、その効果は成長とともには減弱する傾向があった。最も顕著な効果は生後6カ月時の中耳炎発症との関連で認められ、摂取しない群と比較して、毎日ヨーグルトを摂取する子どもでは37%のリスク低下が示された。

【用語解説】

注1. 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査):胎児期から小児期にかけての化学物質ばく露が子どもの健康に与える影響を明らかにするために、平成22(2010)年度より全国で約10万組の親子を対象として環境省が開始した、大規模かつ長期にわたる出生コホート調査である。臍帯血、血液、尿、母乳、乳歯等の生体試料を採取し保存・分析するとともに、追跡調査を行い、子どもの健康と化学物質等の環境要因との関連を明らかにすることを目的とする。エコチル調査は、国立環境研究所に研究の中心機関としてコアセンターを、国立成育医療研究センターに医学的支援のためのメディカルサポートセンターを、また、日本の各地域で調査を行うために公募で選定された15の大学等に地域の調査の拠点となるユニットセンターを設置し、環境省と共に各関係機関が協働して実施している。

注2. 乳酸菌やビフィズス菌といった、善玉菌と呼ばれる微生物の健康利用。元々はフラー博士(1989)により「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義されが、現在ではより広く、「適正な量を摂取したときに有用な効果をもたらす生きた微生物」と認知されている。

詳細(プレスリリース本文)※5月31日に訂正版へ差替えPDFPDF
※一部表現を変更しました

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学病院 顎口腔機能治療部
助教 土谷 忍(つちや しのぶ)
TEL: 022-717-8277
E-mail: shinobu.tsuchiya.c2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学病院 広報室
TEL: 022-717-7149
E-mail: press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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