本文へ
ここから本文です

世界最深の熱水活動の痕跡を東北日本沖の古く冷たい太平洋プレート上で発見

【本学研究者情報】

〇東北アジア研究センター・准教授 平野 直人
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 従来型の火山活動が無い東北日本沖の水深約5,700 mの海底から、世界で最も深い熱水活動の痕跡を発見した。この熱水活動を引き起こした火山活動として最も有力なのが、試料採取地点付近に存在するプチスポット火山である。
  • 近年続々と報告されつつある世界中のプチスポット火山で熱水活動が起きていると仮定すると、プチスポット火山に伴う熱水活動から排出されるメタンや二酸化炭素は、全球的な炭素循環に影響を与えうる量であると推定される。
  • 今回発見された熱水活動の痕跡は、海底熱水活動が存在しないと考えられていた海域に存在している。そのため、熱水孔付近に暮らす生物にとっては砂漠のような海域において、プチスポット火山が小さなオアシスとして機能している可能性があり、今後は活動中の熱水系の直接観察を目指す。

【概要】

早稲田大学理工学術院講師の浅見 慶志朗(あざみ けいしろう)、千葉工業大学次世代海洋資源研究センター上席研究員の町田 嗣樹(まちだ しき)、東北大学東北アジア研究センター准教授の平野 直人(ひらの なおと)、東京大学大学院工学系研究科准教授の中村 謙太郎(なかむら けんたろう)・安川 和孝(やすかわ かずたか)、同大大学院工学系研究科教授の加藤 泰浩(かとう やすひろ)、京都大学大学院人間・環境学研究科教授の小木曽 哲(こぎそ てつ)、千葉大学大学院理学研究院教授の中西 正男(なかにし まさお)らの研究チームは、プチスポット火山(注1)から世界で最も深い水深における海底熱水活動(注2)の痕跡を発見しました。
本研究成果は英国Springer Natureのオンライン科学誌「Communications Earth & Environment」に、6月1日10時(ロンドン夏時間)に掲載しました。

【用語解説】

注1.プチスポット火山
プチスポット火山は2006年に報告された新しいタイプの火山で、プレートの屈曲部に存在する弱線に沿って上部マントルからマグマが上昇することで形成する単成火山(一度の噴火活動で形成する火山)です。本研究の調査海域である東北日本沖には、プレート屈曲構造の代表例であるアウターライズが存在し、100を超えるプチスポット火山が発見されています。

注2.海底熱水活動
主にマグマなどの熱源によって熱せられた熱水が、海底から噴出する現象を指します。熱水は周囲の岩石や堆積物から様々な物質を溶かし込み、熱水噴出孔の周辺では海水によって冷やされた熱水から硫化物や酸化物などが沈殿します。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学東北アジア研究センター 
准教授 平野 直人
Tel: 022-795-3618 
E-mail: nhirano*tohoku.ac.jp

(報道に関すること)
東北大学東北アジア研究センター広報運営室
Tel: 022-795-3618 
E-mail: kouhou.cneas*grp.tohoku.ac.jp

(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs04 sdgs07 sdgs14

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ