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高速量子ビット読み出し手法をグラフェンで実現 ─グラフェン量子コンピュータへ期待─

【本学研究者情報】

〇材料科学高等研究所/電気通信研究所 准教授 大塚朋廣
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 二層グラフェン(注1)量子ドットにおける高周波反射測定を微小なグラファイト電極を用いて実現しました。
  • グラフェン量子ドット電荷計(注2)を垂直配置することで、高速/高精度な量子ビット読み出しが期待されます。

【概要】

厚さが原子数個分のグラフェンは優れた電気・機械・光学的特性を持つことから、量子コンピュータを始めとした多くの次世代デバイスへの応用展開が期待されています。特に量子ビット状態の高速/高精度読み出しは、量子コンピュータ応用に向けた中心的課題の1つであり、その実現に向けたグラフェンデバイス設計指針の確立が急務となっていました。

東北大学大学院工学研究科 大学院生の上面友也氏(同大学電気通信研究所所属)、同大学材料科学高等研究所の篠﨑基矢特任助教、大塚朋廣准教授(同大学電気通信研究所兼任)らは、微小グラファイト電極を用いたデバイスと回路を作製することで、高周波反射測定と呼ばれる高速読み出し手法をグラフェンデバイスにおいて実現し、量子伝導状態の測定を行いました。そして数値計算により同手法により達成されるビット読み出し精度を示し、その改善に向けたデバイス構造も示しました。これらはグラフェンをはじめとする2次元材料による量子ビット開発や物性探索における基盤となり、量子コンピュータ等の次世代デバイス開発に貢献することが期待されます。

本研究成果は、2023年7月17日(現地時間)に米国物理学会の専門誌Physical Review Appliedにオンライン掲載されました。

図1. (a) 作製したデバイス構造。絶縁シリコン上にグラファイトを配置し、その上に絶縁層、二層グラフェン、絶縁層、電極の順に積層した構造。(b) 高周波反射測定に用いた共振回路。微小グラファイトをバックゲートとして用いることで寄生容量の低減を実現。

【用語解説】

注1. グラフェン
炭素原子が平面状に配列した単原子層の二次元材料。本研究では二層重ねた二層グラフェンと、多層重ねたグラファイトを用いている。

注2. 量子ドット電荷計
量子ドットと呼ばれるナノスケールの人工構造を使用して電荷を検出するためのデバイス。周囲の電荷状態に応じて抵抗値が変化し、単一電荷を検出できるほどの感度を有するため、量子ビット読み出し等に応用される。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学 材料科学高等研究所(WPI-AIMR)
(東北大学 電気通信研究所、
東北大学 大学院工学研究科、
東北大学 Tohoku Quantum Alliance (TQA) 兼務)
准教授 大塚 朋廣
TEL: 022-217-5509
E-mail: tomohiro.otsuka*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学材料科学高等研究所 (WPI-AIMR)
広報戦略室
TEL: 022-217-6146
E-mail: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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