本文へ
ここから本文です

人の意思決定は眼球運動に現れることを発見 ─ 心の可視化に近づく成果 ─

【本学研究者情報】

〇大学院情報科学研究科
教授 松宮一道
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 「目に見えない心の中のプロセスである意思決定(注1)をどうすれば可視化できるか?」は人間の行動理解に向けて明らかにすべき大きな課題の一つです。
  • 意思決定と関連のない運動行為(眼球運動(注2)や手の到達運動(注3))を行っている場合でも、眼球運動は意思決定の影響を受け続けることが明らかになりました。
  • 人間の行動の方向性を決める意思決定が、目に見える運動行為である眼球運動にだけ影響を与えることから、この研究成果は眼球運動が目に見えない心の中の意思を読み取る窓になる可能性を示しています。

【概要】

 意思決定は自らの判断を決定することであり、人間の行動にとって不可欠な認知プロセスです。このプロセスの可視化は意思決定を理解する上で重要です。意思決定の可視化により、人が次に何をしようとしているか、何を考えているかを先読みして対策を講じることができ、例えば、メンタルケア支援、認知症ケア支援、犯罪予防などに役立つと考えられます。しかし、どうすれば意思決定を可視化できるかは大きな課題となっています。通常は形成された意思決定に基づいて運動行為が計画され実行されます。そのため従来の研究では、意思決定と関連のない運動行為は意思決定の影響を受けないと考えられていました。

 東北大学大学院情報科学研究科の松宮一道教授の研究グループは、意思決定が、その意思決定と関連のない運動行為(実際には、眼球運動と手の到達運動)にどのような影響を与えるのかを研究しました。その結果、今回の実験対象のうち眼球運動が意思決定の影響を受けることを明らかにしました。本成果は、眼球運動から目に見えない心の中の意思を推定できる可能性を示しています。

 本成果は、2023 年 8 月 30 日に国際学術誌 Communications Biology にオンライン掲載されました。

図 1. 意思決定後に、直前に行った意思決定と関連がない眼球運動と手の到達運動を同時に行うと、このうち眼球運動だけが意思決定の影響を受ける



【用語解説】

注1 意思決定
複数の選択肢の中から 1 つを選ぶこと。

注2 眼球運動
選択したものに視線を向ける運動行為。

注3 手の到達運動
選択したものに手を伸ばす運動行為。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学情報科学研究科広報室
TEL: 022-795-4529
E-mail:koho*is.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs03

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ