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両親の喫煙が2、4歳時の収縮期血圧の高さに関連 幼児期からの受動喫煙の回避が将来の生活習慣病や高血圧予防に重要

【本学研究者情報】

〇大学院医学系研究科発達環境医学分野 教授 大田千晴
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 「エコチル調査(注1)」の詳細調査に参加した4,988人の2歳、4歳時点での血圧と体格、基礎疾患、環境要因などとの関連を検討しました。両親が喫煙している群と一方の親が喫煙している群では,両親ともに喫煙していない群に比べて、2歳、4歳時点での収縮期血圧が統計学的に有意に高値であることがわかりました。
  • 幼児期からの受動喫煙を回避することが、将来の生活習慣病や高血圧を予防するために重要である可能性があります。
  • 将来の高血圧に対する予防法の探索につながることが期待されます。

【概要】

日本人成人の高血圧の有病率は高く、小児期からの高血圧予防が重要です。しかし、日本人小児の血圧についての大規模なデータはありませんでした。

東北⼤学⼤学院医学系研究科発達環境医学分野/エコチル調査宮城ユニットセンターの大田 千晴(おおた ちはる)教授、同大学院生の金森 啓太(かなもり けいた)医師らの研究チームは、「子どもの健康と環境に関する全国調査」(以下「エコチル調査」)の詳細調査に参加した4,988人の2歳、4歳時点での血圧平均値を算出し、体格、基礎疾患、環境要因などとの関連を検討しました。本研究では、日本人幼児の血圧値と、体格、基礎疾患、環境要因などとの関連を検討しました。

その結果、4歳の血圧に影響する因子として、男児、肥満、親の喫煙、妊娠高血圧、親の低学歴を指摘しました。そのうち、男児、肥満、親の喫煙は、2歳の血圧にも影響があることを明らかにしました。喫煙の影響についてさらに調査したところ、2歳時点から児の血圧に影響を与える環境因子として親の喫煙を指摘し、幼児期からの受動喫煙を回避することが、将来の生活習慣病や高血圧を予防するために重要であることを示しました。

本研究の成果は、2023年8月26日付で小児科分野の学術誌Pediatric Researchに掲載されました。

※本研究の内容はすべて著者の意見であり、環境省及び国立環境研究所の見解ではありません。

図1. 2、4歳時の収縮期血圧と保護者の喫煙との関連。
両親喫煙なし、両親いずれかが喫煙あり、両親が喫煙、の3つのグループで解析。2歳、4歳の収縮期血圧は、両親が喫煙および一方が喫煙のグループでは,両親が喫煙していないグループに比べ、有意に高値でした(図中のPの値が0.05以下を「統計学的有意」とする)。

【用語解説】

注1. エコチル調査:化学物質ばく露(注2)などの環境要因が子どもの健康に与える影響を明らかにするために、2010年度から全国で約10万組の親子を対象として環境省が開始した出生コホート調査

注2. 食べたり、呼吸をしたり、手についたりして、体の中に入ってくること

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科 
発達環境医学分野
教授 大田 千晴(おおたちはる)
TEL: 022-717-8949
Email: chiharu.ota.e8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北⼤学⼤学院医学系研究科 
医学部広報室
TEL: 022-717-8032
Email: press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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