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電気刺激が無く軟らかい新構造のハイドロゲル製ピペットを開発 ─体内深部への安全な薬剤送達などでの実用化に期待─

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科ファインメカニクス専攻 教授 西澤松彦
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 電気浸透流(注1)を高効率で発生するアニオン(陰イオン)性およびカチオン(陽イオン)性ハイドロゲルをそれぞれ調製しました。
  • アニオン性とカチオン性ハイドロゲルの接合でイオン電流が内部で循環するピペット機構を実現しました。
  • 新構造ピペットの制御性・柔軟性・安定性および非電気刺激性を実証しました。
  • 体内深部への薬剤送達やハイドロゲル電極デバイスへの搭載が可能です。

【概要】

微量な溶液のマニピュレーション(吐出と吸引)は、生体局所への薬剤投与や体外での細胞研究など、様々なバイオ医療分野で重要です。

東北大学大学院工学研究科の西澤松彦教授のグループは、外部に電流を漏らさずに電気浸透流を発生させ、かつ制御性と安全性を併せ持つ細径チューブ型のハイドロゲル製ピペットの開発に成功しました。アニオン性とカチオン性のゲルを接合すると、イオン電流がデバイス内部をループし、接合部で一方向の吐出・吸引が生じる仕組みです(図1)。電気刺激を伴わないため、体内深部での安全な薬剤送達などに有用で、ハイドロゲル電極デバイスなどへの搭載も可能です。

本成果は、2023年9月7日に材料分野の専門誌Advanced Functional Materialsにてオンライン公開されました。

図1 電気浸透流ピペットの構造と原理、および脳モデルへの挿入

【用語解説】

注1. 電気浸透流
マイナス(またはプラス)に帯電した多孔性物質やマイクロチャンネルに通電すると、カチオン(またはアニオン)が優先的に電気泳動するため、それに付随して電気浸透流と呼ばれる溶媒(水)の流れが生じる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
(大学院医工学研究科・高等研究機構新領域創成部 兼務)
教授 西澤松彦
TEL: 022-795-7003
 Email: nishizawa*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科情報広報室 担当 沼澤みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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