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非喫煙者に多いEGFR変異肺腺がんへのかかりやすさを解明 肺腺がんの予防・早期発見にむけた手がかりとして期待

【本学研究者情報】

〇東北メディカル・メガバンク機構バイオマーカー探索分野 教授 布施昇男
ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 日本人の肺腺がん患者さん1万7千例の遺伝子を調べ、肺腺がんへのかかりやすさを決める遺伝子の個人差を明らかにしました。
  • これらの遺伝子の個人差は、非喫煙者に発生しやすく、がん細胞の増殖に必要な信号を細胞内に伝える役割を担っているEGFR遺伝子に変異のある肺腺がんのかかりやすさに強くかかわっていました。
  • 遺伝子の個人差の一部は、染色体DNAの末端に存在するテロメア配列を長くすることで、肺腺がんへのかかりやすさを高めることが示唆されました。
  • これらの発見は、非喫煙者に対する肺腺がんの予防、早期発見に役立つと期待されます。

【概要】

国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)研究所ゲノム生物学研究分野 白石航也ユニット長、河野隆志分野長、愛知県がんセンター(総長:丹羽康正、愛知県名古屋市)がん予防研究分野 松尾恵太郎分野長など、全国19施設からなる共同研究グループは、日本人の肺腺がんの患者さん約1万7千例と肺がんに罹患していない人約15万例の遺伝子の個人差を調べました。その結果、日本人における肺腺がんへのかかりやすさを決める遺伝子の個人差が19個同定され、その一部は、非喫煙者に多く発生するEGFR遺伝子(注1)に変異を持つ肺腺がんのかかりやすさと強く関わることが分かりました。一部の遺伝子の個人差は、染色体DNAの末端に存在しゲノムの安定化に関わるテロメア配列(注2)を長くすることで、肺腺がんへのかかりやすさを高めることが示されました。これらの結果は、非喫煙者の肺腺がんの予防、早期発見に役立つと期待されます。

本研究成果は、2023年10月26日(米国東部時間)付で、国際学術誌「Cancer Communications」に掲載されました。

【用語解説】

(注1)EGFR 遺伝子
非小細胞肺がんの細胞の表面にはEGFR(上皮成長因子受容体)と呼ばれるタンパク質がたくさん発現しており、このEGFRは外部から刺激を受けると、がん細胞が増え続ける(増殖)のに必要な信号を細胞内に伝える役割を担っている。

(注2)テロメア
真核生物の染色体の末端部にある構造で、染色体を保護し、維持する働きを持つ。TERT、TERC、POT1などの遺伝子の産物がテロメアの伸長や安定化を制御している。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学東北メディカル・メガバンク機構
広報戦略室
TEL:022-717-7908
E-mail:pr*megabank.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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