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尿道内排尿流のベクトル可視化を世界で初めて実現 排尿障害の個別局所治療に向けた新たな尿道機能評価を可能に

【本学研究者情報】

学際科学フロンティア研究所
助教 石井琢郎

研究者ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 排尿中の尿道内の流れベクトル(方向と速さ)分布を、1秒間に1,000枚以上の高フレームレートで可視化する超音波イメージング技術を開発しました。
  • 前立腺肥大症などによって変性した尿道内では渦流やジェット流など複雑な流動が生じている事を明らかにしました。
  • 尿道内における尿排出の状態が詳しく分かることで、最適な薬物投与や、より低侵襲な手術などにつながる新たな排尿機能評価法の開発が期待されます。

【概要】

 前立腺肥大など加齢に伴う尿道の変性は正常な排尿が困難な状態をもたらします。治療にあたっては、尿道内部における尿の流れを詳細に評価する手段が求められていました。

 東北大学学際科学フロンティア研究所の石井琢郎助教、獨協医科大学病院排泄機能センターの山西友典教授(当時)、カナダ・ウォータールー大学のAlfred Yu教授、東北大学大学院医工学研究科の西條芳文教授らの研究グループは、ハイフレーム超音波撮像技術を用いて、排尿中の尿道内の流路変形と内部の流れベクトル分布を1秒当たり1,000枚以上の高時間分解能で計測するイメージングシステムを開発し、前立腺肥大症などにより変性した尿道内部における詳細な流れの可視化を初めて実現しました。

 本研究成果により排出中の流れの詳細な観察が可能となり、患者個別に最適な投薬やより低侵襲な手術などより良い治療の発展に貢献することが期待されます。

 本研究成果は、国際学術誌Medical Physicsに2023年11月20日付で掲載されました。

図1.排尿開始期(上段)および排尿終了期(下段)の尿道運動と流れベクトルの可視化結果。いずれも3秒間の動画データから4フレームを抜き出して示している。排尿開始期では、膀胱側から尿の排出が始まり、流路が拡張して排尿流が発達していく様子を示している。排尿終了期は、腹圧や外尿道括約筋による尿道と流れの変化が観察された。外尿道筋の収縮伝搬によって、尿道内の尿は一部膀胱側に逆流していた。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学学際科学フロンティア研究所
助教 石井琢郎(いしい たくろう)
TEL: 022-795-5882
Email: takuro.ishii*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学学際科学フロンティア研究所
企画部
特任准教授 藤原英明(ふじわら ひであき)
TEL: 022-795-5259
Email: hideaki*fris.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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