本文へ
ここから本文です

植物リボソームの栄養濃度の感知機構を解明 ――栄養条件に応じた生育促進の巧みな仕組み――

【本学研究者情報】

〇大学院生命科学研究科 助教 横山武司
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • タンパク質の合成過程(翻訳)での植物の無機栄養の感知とそれに伴うタンパク質合成過程の変化が分子レベルで解明されました。これまで知られていなかった80Sリボソーム複合体がmRNA上を滑って移動するプロセスが翻訳制御に重要であることが明らかになりました。

  • 翻訳を通じた植物の無機栄養の欠乏に対する反応の分子機構が初めて明らかにされました。
  • この翻訳制御は植物の栄養吸収を担う遺伝子を栄養条件に応じて厳密に発現させるために不可欠な仕組みであり、この仕組みを人為的に変化させることによって、植物の栄養吸収能力を高めたり、栄養をあまり必要としない作物の開発につながる可能性があります。

【概要】

東京大学大学院農学生命科学研究科の藤原 徹教授、理化学研究所生命機能科学研究センター伊藤 拓宏チームリーダー、および理化学研究所開拓研究本部 岩崎 信太郎主任研究員、東北大学大学院生命科学研究科 横山 武司助教らの共同研究グループは、構造学的、生化学的解析から、AUG-stop配列を介した植物のホウ素に応答した翻訳開始制御の新しい仕組みを明らかにしました。この仕組みを通じて植物は土壌からの栄養の吸収を制御し、正常な生育を維持しています。

植物の成長や作物生産には土壌の栄養が不可欠ですが、土壌の栄養濃度は植物にとって適切とは限りません。不適切な栄養条件に置かれた植物は不足する栄養をより良く吸収するために、栄養の輸送体の蓄積量を増加させたりします。植物が輸送体の蓄積量を栄養条件に応じて増やすためには、栄養条件を感知する必要があります。これまでの著者らの研究で植物の栄養素の一つホウ素を吸収するための輸送体の蓄積を増やすために、植物は細胞質のホウ素濃度を感知して、特定のタンパク質の合成量を変化させることがわかっていましたが、ホウ素がどのように感知されるのかについては分かっていませんでした。今回、ホウ素を与えたリボソームの分子構造解析や生化学的な解析を通じて、ホウ素がリボソームの挙動を変化させ、それによって輸送体タンパク質の合成量を制御していることが明らかになりました。

今回明らかになったホウ素濃度に応じたリボソームの挙動の模式図

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
助教 横山武司
TEL: 022-217-6206
E-mail: takeshi.yokoyama.d1*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
広報室
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
E-mail: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs02 sdgs15

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ