本文へ
ここから本文です

ウィルス検査用高感度検出プローブを開発 金ナノ粒子シェル構造により1粒子の吸光度を向上

【本学研究者情報】

〇材料科学高等研究所 教授 藪浩
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 自己組織化プロセスにより金ナノ粒子を表面に密に集積することで、大きな吸光度を持つ粒子を作製しました。
  • その粒子に抗体を結合させることで高感度な抗原抗体反応のプローブ1を実現しました。
  • さまざまな疾病マーカーの高感度検出への適用が期待されます。

【概要】

インフルエンザや新型コロナウィルスなど感染症の抗原検査としては、イムノクロマト法(注2が一般的です。この方法では、プローブとして検出抗体を結合した金ナノ粒子が用いられています。しかしながら金ナノ粒子のサイズが数nm〜数10nmと小さく、光学断面積が小さいため、検出のためには大量の粒子を必要とするという課題がありました。

東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の藪浩教授(主任研究者、同研究所水素科学GXオープンイノベーションセンター副センター長)、および綜研化学(株)新規事業企画部からなる研究グループは、高分子の相分離と静電相互作用を用いた自己組織化プロセスにより、高い光学密度をもつコンポジット微粒子(Gold Nanoparticle Decorated Polymer (GNDP) 粒子)を作製し、そこにインフルエンザ抗原に対する抗体を結合すること、抗原を高感度に検出できる検出プローブとなることを見出しました(図1)。本成果はインフルエンザなどの感染症の高感度な検出を可能とするだけでなく、抗原量の定量測定や、さまざまな疾病マーカーを高感度に検出する新たなプローブ粒子としての利用が期待されます。

本研究成果は、現地時間の1月30日に米国化学会におけるコロイド・界面科学分野の代表的な専門誌Langmuirのオンライン速報版に掲載され、同誌のSupplementary Coverにも採用されました。

図1. 本研究で開発したGNDP粒子プローブと抗原抗体反応検査(イムノアッセイ)の原理図。

【用語解説】

注1. プローブ
元々は測定や実験などのために試料に接触して測定を行う針のことを指すが、抗原抗体検査では検出するために用いる物質のことを指す。

注2. イムノクロマト法
毛管力で液体を吸い上げるセルロース多孔質などの検査シート上に抗原に対する抗体を固定化し、検査試薬とともに検体を毛管力を使って流すことにより、抗原抗体反応の有無を検査する検査システムの一つ。妊娠検査薬やインフルエンザの抗原検査など、広く用いられている。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学材料科学高等研究所 (WPI-AIMR)
教授 藪 浩(やぶ ひろし)
TEL: 022-217-5996
Email: hiroshi.yabu.d5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学材料科学高等研究所 (WPI-AIMR)
広報戦略室
TEL: 022-217-6146
Email: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs03

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ