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地熱エネルギーの資源量を機械学習で効率的に評価し将来予測する技術を開発 ─エネルギーの安定供給や地球温暖化対策に期待─

【本学研究者情報】

〇流体科学研究所 准教授 鈴木杏奈
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 地熱エネルギーの資源量評価と開発に伴うエネルギー生産予測のための地熱貯留層(注1モデリングに機械学習を適用しました。
  • 計測データに基づいて、自動的、高速、かつ客観的に地下の状態を推定できるようになりました。
  • 実際のフィールドを模擬したデータに対しても高い性能を実証しました。
  • 地熱エネルギー開発の高速化、客観性向上、信頼性の確保に期待できます。

【概要】

地熱エネルギーの利用には、地下の状態を精度よく推定し、将来のエネルギー生産量を予測することが不可欠です。しかし、地熱資源のある地熱貯留層は複雑で不確実性が高く、従来の手法では地下の状態を推定するのに限界がありました。

東北大学流体科学研究所の鈴木杏奈准教授は、同大学大学院工学研究科の橋田俊之教授(現未来科学技術共同研究センター特任教授)ら、大阪大学産業科学研究所の福井健一准教授、東北電力株式会社の石崎潤一氏(現東北自然エネルギー株式会社)、小野寺真也氏と共同で、地下の状態を把握・予測・設計するための地熱貯留層(注1モデリングに機械学習(注2を用いる手法を提案しました。この手法は、計測データに基づき、自動的かつ迅速に数値モデルの推定を行うことが可能です。実際の地熱フィールドを模擬したデータに対しても、高い精度でパラメータ推定ができることを実証しました。この研究により、地熱エネルギーの生産予測が可能となり、地熱開発の加速化、信頼性向上に貢献できます。

この研究成果は、2024年3月1日付で再生可能エネルギー分野の国際学術誌Renewable Energyに掲載されました。

図1. 提案手法のイメージ。(a)従来手法では、計測結果に近づくように何度も入力パラメータを調整しながら、数値モデルを最適化する必要があります。(b)本手法は、事前に機械学習モデルを構築することで、計測データを機械学習モデルに入力することで、数値モデルを自動で推定できます。

【用語解説】

注1. 地熱貯留層:雨水等が地下深部に浸透し地球深部由来の熱源で温められた熱水や蒸気が地下の岩の割れ目の間に存在する層。高温の地熱エネルギーを貯蔵し、熱水や蒸気を取り出すことで地熱発電等に利用される。

注2. 機械学習:機械学習は人工知能(AI)の一分野。AIは広い概念で、機械が人間のような知能を持つことを指す。機械学習はシステムにデータを与え、そのデータからパターンや規則性を学習して予測や意思決定を行う手法のことを指す。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学流体科学研究所
准教授 鈴木杏奈
TEL:022-217-5284
Email: anna.suzuki*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学流体科学研究所
広報戦略室
TEL: 022-217-5873
Email: ifs-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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